【マイルス・デイヴィス】Four & More  アルバムレビュー 考察38 

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Four & More 概要と中山康樹さんの解説

1964年 Columbia

George Colemants
Herbie Hancockp
Ron Carterb
Tony Williamsds

前回ご紹介のMy Funny Valentineと同日、同会場であるリンカーン・センター(フィルハーモニックホール)での録音。2枚1セットとお考えください。

その2枚組のうちのいわゆる、イッちゃってる系(アクティブ系)のヴァージョンのアルバムです(My Funny Valentineバラード系)。

このアルバムは、一言でいうなら『疾走感』

ジャズは理屈ではない。ナンダカンダア~ダコ~ダいったところで、早い話、ただドバ~ッとやってくれればいいのだ。

中山康樹さん著 マイルスを聴け!Version7 P204 Four & More 冒頭より

この中山康樹さんの解説にきっと僕は救われました。

けっこうマイルスの聴き始め早い時期に僕はこのアルバムを手に入れて絶句していましたw。

『なんなんだ、これもジャズか・・・汗』と・・・。

僕にとって聴き始めの頃はやっぱりA列車で行こうとかモーニンとかテイク・ファイヴとか、そういう類でした。

マイルスのアルバムでいうなら’Round about Midnight とかing四部作とかSomethin’ Elseとかやっぱり聴きやすくてかっこいい、Jポップやロックと全然違う!みたいな感じで喜んで聴いてました。

で、いろんなレビューを見て次はこの辺かなと思って手に入れたFour & More はハード・ロックやヘヴィメタルを超えるような疾走感あるスリリングさを感じましたが、これもジャズなの?と疑問にも感じ少し敬遠していたと思います。

でも後に中山さんマイルスを聴け!を手に入れて上記の解説を読んで、『そうか、ドバ~ッとでいいのか・・・と思い聴きなおすといつのまにかお気に入りの1枚になっていました。

気づくと疲れた体で仕事中の高速道路を走らなきゃいけないときなんかは、けっこうこのアルバムを聴いてマイルス・クインテットと疾走するようになりました(法定速度内で)w。

この中山さんの一文がマイルスを語る上でとても大事なのではないかと思います。

あの中山さんが言ったんですから・・・。『ドバ~』でいいんですw。

なんだこの曲?って思ったら『ドバ~ッ』としたものを感じるかどうかでその音を楽しめばいいのです。

合わなければ他のものを聴けばいい・・・それだけのことです。

この一文がなければマイルスにここまでぞっこんにはならなかったかもしれません。

そういう意味では中山さんは罪な人ですw。

中山さんのおかげで芳醇なマイルスの世界を知ることができた僕なのでした。

そして中山さんの愉快で楽しく優しいマイルス解説は僕にとっては必須のものとなっています。

アルバムの曲順と本当の当日のセットリストについて

前回のブログでもご紹介しましたがFour & More も曲順は実際のライブと異なる編集された曲順となっています。

今回も曲順の対比表を載せておきます。

実際の曲順でもう一度聴きなおすなんてのも、なかなかマニアの楽しみかたかもしれませんw。

CDアルバム My Funny Valentine 曲順  CDアルバム Four & More 曲順実際の1st Set 曲順 実際の2nd Set 曲順  
1 My Funny Valentine1 So What1 Introductin 1 Introductin
2 All of You2 Walkin’2 Autumn Leaves2 All Blues
3 Stella by Starlight3 Joshua~Go Go3 So What3 My Funny Valentine
4 All Blues4 Four4 Stella by Starlight4 Joshua
5 I Thought about You5 Seven Steps to Heaven5 Walkin’5 Go Go
6There is No Greater Love~Go Go6 All of You6 I Thought about You
7 Go Go7 Four
8Seven Steps to Heaven
9 There is No Greater Love
10 Go Go
http://mileskoukogaku.com/wp-content/uploads/2022/02/19640212.xlsx

ジョージ・コールマンの離脱

このライブの後、ジョージ・コールマンはマイルスバンドを離脱しました。

これら2枚のアルバムを聴く限りは、既に最強のクインテットの完成という気がします。

【テナー・サックスがジョージのマイルス・クインテットはソロイストと伴奏者のバランスが非常によい・・・小川隆夫さん新著『マイルス・ディヴィス大事典』の中でそのように言及してます。また僕の持っている日本版のCDのライナー・ノーツでも同様に高く評価しています。

確かにこのあとに出るアルバムは、伴奏者が『出過ぎる感』があったり、ソロイストが過激すぎて伴奏者もソロイストに近くなってしまったりのアルバムも見られるところです。

ジョージの離脱の理由について、マイルス・デイヴィス自伝によると2つの理由があったことを語っています。

一つはドラムスのニー少年は、ジョージがすべてを完璧に演奏してしまうからあまり好きではなかったから・・・(この時期、マイルスは本当にトニーを中心にバンドを考えていたくらい彼を高く評価していた)

もう一つはジョージが言うにはトニーとハンコックとロンはフリーなスタイルでばかり演奏したがるからだったそうです。

マイルスは持病でセッションを抜けることもよくあったそうですが、残った4人で演奏をしたとき、ジョージは伝統的なジャズの演奏スタイルでした。

しかしあとの3人は、フリージャズに傾倒していて、マイルスが不在のときは、その度を越えていたらしいのです。かなりフリーな演奏・・・。

つまり音楽性の違いですね。

素晴らしいライブを残したのに、このようないきさつでテナー奏者が変わったのでした。

最強と思われたクインテットではありますが、さらに至上のセクステットがこの時期以降、出来上がっていくわけです・・・。それはまた後日のブログで・・・。

全般をとおして・・・

小川さんのおっしゃるとおりソロイストと伴奏者のバランスがいいライブアルバムだなと聴きなおして感じました。

僕のまだ買って間もないプラグドニッケルはやや行き過ぎなのかな?というふうにも感じてきました。

でもそれぞれのアルバムがそれぞれにいい・・・。マイルスはどこから聴いても、どれを聴いてもいいという中山さんの教えそのままだと感じ始めている僕です。

そう、ジャズはドバ~ッでいいのです。

ですので今日のブログはその言葉どおり、『ドバ~ッ』とあっという間に書きあげましたw。

いつもの3分の1くらいの時間ですw。

そしてブログの記事や言葉に詰まったらこれからもドバ~ッとでいいよね?中山さん!と呟いて、このブログのゴールを目指したいと思います。

<(_ _)>

コメント

  1. 津田 亮 より:

    フォア&モアってこの掲載の様に言われますが、プラグトニッケルも広く世界中に広まった今の自体ならフォア&モアはそこまでイケイケには思えません。
    また、トニーウィリアムスが居ないですけど『1969のマイルス』なんてフォア&モアの数倍の破壊力があると思います。
    2000年以前の情報量ではフォア&モアってのは『そうかなぁ』とは思いますが‥どうでしょう?

    • kanayama@jazz kanayama@jazz より:

      亮さま
      コメントありがとうございます。久しぶりにブログにコメントいただけて涙出るくらいうれしいです!!
      “Four & More”と比べて「1969」はもう、JAZZ枠を遥かに超えている作品ですよね。
      五臓六腑から肛門まで・・・。すごいアルバム!!
      僕はトニー・ウィリアムスをマイルスのアルバムで知って、ドラムの概念をひっくり返されてしまいました。
      だってJAZZのドラムスってこんな”Four & More”みたいなのは聞いたことなかったですもの・・・。
      「1969」も大好きなアルバムです。が、トニー少年(マイルスに比べてとても若いから「少年」と呼んでます)の参加アルバムは
      どうしても熱くひいきして書いてしましいますw。
      “Four & More”も「1969」もその時代ごとにとても重要で大切なアルバムですよね!!
      くぅ~~~たまらん!