【マイルス・デイヴィス】’Round about Midnight  アルバム レビュー 考察12 

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Round about Midnight 概要

1955~1956年 Columbia

John Choltranets
Red Garlandp
Paul Chambersb
Philly Joe Jonesds
筆者<br>かなやま
筆者
かなやま

今回はアルバムレビューに戻ってみます。

大手レコード会社 コロムビアとの契約

いよいよマイルスは大手レコード会社のコロムビアへ移籍しました。

Prestige と比べるとやはり大手中の大手。莫大なマネーが動きますので自伝の中でもその大きさを随所でマイルスは言及しています。

アレンジャーのギル・エヴァンスと名曲、①”Round Midnight”

アレンジャーにギル・エヴァンスが参加します(ピアノのビル・エヴァンスとは別人です。念のため)。

今後、このギルとのタッグはマイルスにとって大きな飛躍を生み出します。

その好例が今作のタイトルナンバー” ‘Round about Midnight”の静から動、小から大への転換部分のアレンジと言われています。テーマ部分で、マイルスのトランペットが吹ききられると大きな転換をします。その部分です。

そしてコルトレーンのtsがなんとも艶のある音色で入ってきます。この転換こそがこの曲の魅力だと思います。

そしてマイルスはトランペットを冒頭のテーマの部分で吹きますが、自身のソロパートがないのです。以外とこういう大きなことにジャズを聴き始めの頃は気づかないものでした。

マイルスの音楽人生の全般に言えることだと思いますが少ない音数で少ないセクションでその曲を際立たせる、音楽監督としてのマイルスもまた、他の音楽家より優れている魅力だと勝手に思うのです。

今後の作品の中でまったくマイルスのトランペットが登場しない曲もあるくらいです。

マイルスは時として自分の作品に自分の登場を最小または皆無にして作品を作っていくのです。

それがこの名曲の中からも感じられると勝手に思うのです。

筆者<br>かなやま
筆者
かなやま

ちなみにこの ” ‘Round about Midnight” はこれが三回目のマイルスのアルバムへの収録となっています。リリース順にいうと

1回目 1953年 Collectors’ Item

2回目 1956年10月26日 Miles Davis and Modern Giants

3回目 1956年9月10日  ” ‘Round about Midnight” (本作)

実は同日ながら、今回の録音のほうが2回目のリリースのものより前に録音されたものです。ややこしい。

今回のものが僕はテンポとかコルトレーンガーランドの音をとってみても本当に名作中の名作だなと思います。

②Ah-Leu-Cha

②曲目” Ah-Leu-Cha”(『アー・リュー・チャ』と読みます)はチャーリー・パーカー親分の作曲です。

Charlie”のつづりを逆さにしたのが タイトルとされています。

今後、マイルスのライブ・アルバムにも度々登場する熱い、熱いナンバーです。

芯のないそのへんのパンクロックなんかより、よほど熱く、なんと言って表現していいのか・・・。ジャズなのにロックンロールしてるというか・・・いや、これこそ『マイルスしてる!』っていう名演だなと勝手に思います。

③All of You 他・・・

そして熱い2曲目から3曲目へ・・・爽やかなマイルスのミュートの音色が優しいテーマが始まる   “All of You”に・・・。

この熱い→涼しの転換もこのアルバムの評価がとても高い一因とこれまた『勝手に』思っています。

もともとリリース時で言えばアナログレコードのA面の終わりの曲。ここで一旦、”Round about Midnight”の区切りです。

コロムビアに移籍してプロデューサーについたジョージ・アヴァキャン(コロムビアのプロデューサー 1919年~2017年)のもたらした効果的手法。

④曲目は“Bye Bye Blackbird”1926年の古い古い歌だそうです。

ちょっと聴き方によっては童謡にもなりそうなテンポが軽やかな曲ですが、これも今後様々なアレンジが加わってライブアルバムに収録される名曲です。

⑤曲目“Tadd’s Delight”の聴きどころは、やはりマイルスのトランペットの伸びやかさ、それとガーランドのピアノのアイデアかな・・・。語彙不足を感じる・・・がとにかく名演。

⑥曲目は僕の大好きな“Dear Old Stockholm” 1952年録音の“Miles Davis All Stars”にも収録されているスウェーデン民謡をもとにした名曲。なんとなく霧煙る感じのこのムードが大好きです。

1952年録音のほうがテンポがスローで落ち着いていて、煙が目にしみるような雰囲気がして僕は大好きですが、こちらもいいですね・・・。そしてこの名作は余韻を残しながら6曲が終了となります・・・。

‘Round about Midnight 最後に・・・この名盤を振り返って

これまでブログを書くために数回、このアルバムを丁寧に聴きなおしていますが、今作からやはりコロムビアに移籍の影響もあるのか、音がとてもいいことに気づきました。

とくに全般にライト・シンバルの音がホントにそこで鳴っているかのように聴こえるようになりました。これからたくさんの名演をまた聴きなおしていくわけですが、録音の質が上がっていくことが本当に楽しみです。

で、ブログを始めるまではランダムにその日の気分で聴くアルバムをチョイスして聴いていましたが、こんなふうに時系列に聴いていくと今まで気づかなかった発見がまたあるんだと思いました。

ぜひ皆様もこんな風に時系列に、そしていろいろな中山さんや小川さんの名著に触れながら聴き進め、ご自分なりの気づきや感想を書いてみてはいかがでしょうか・・・?

もう50年以上前の演奏の書き起こしですから、それぞれの『マイルス考古学』にきっとなるでしょう。

しかし、今回はいつもに増して繰り返し聞きました。本当に名作だなあ・・・。お正月の贅沢な時間の使い方でした。

筆者<br>かなやま
筆者
かなやま

マイルス、中山康樹さん、『マイルスを聴け!』シリーズについて

好き勝手に書かせていただいたブログ記事はコチラです。

 

 

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