【マイルス・デイヴィス】Dark Magus アルバムレビュー 考察61

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Dark Magus 概要

Miles Davis/tp,org(YAMAHA!)  Dave Liebman/ss,ts,fl Azar Lawrence/ts(⑤⑥)          Pete Cosey/elg,per  Reggie Lucas/elg Dominique Gaumont/elg(⑤⑥⑦⑧)  Michael Henderson/elb  Al Foster/ds  Mtume/per

1974年3月 Columbia

公式盤としてのライブ・アルバムは今回、書かせていただく『ダーク・メイガス』と前作の公式のライブ・アルバム『マイルス・デイヴィス・イン・コンサート』までは1年半ほどもひらきがあります。マイルスはこの間、非常に精力的にライブはこなしています(それにより燃え尽きる・・・)。ブートレグではこの期間の録音が多数、残されていて、素晴らしい日本公演もあるようです。中山康樹さん大絶賛です。(例:”Unreachable Station” Mega Disc 1973年6月、東京)

中山さん『マイルスを聴け!Version7』で本作を「全体に暗く、病的な匂いが濃厚になっている~中略~(1975年からの)長期引退をほのめかしていたようにも受け取れる」としています。

そんなわけで、中山さんのレビューに左右されやすい単純な僕は、本作をそう聴きこんではいないのですが、僕なりのレビューを書いてみたいと思います。

ライブ録音された日とリリースされた時期のひらき

ライブ録音されたのは1974年3月ですが、リリースされたのが、ライブ・アルバム『ブラック・ビューティ』同様、当初は日本のみリリースで1977年のこと。アメリカでの発売は、なんと20年後の1997年なのには驚きで、アメリカでも大ヒット・アルバムとなりました。

インデックス(タイトル)と楽曲名の異なる件・・・ややこしい

このアルバムに限る話ではありませんが、とくにエレクトリック期のマイルスのライブ・アルバムは、発売当初のレコードでは、ライブの1セットを一気通貫のメドレーで行い、それを1タイトルとして1曲にあてがうというインデックスがなされています。このアルバムでは2枚組8曲入り構成となっていますが・・・

やはり複雑で、今なんていうタイトルの曲を聴いているのかがわかりにくい・・・それが本作をあまり聴きこんでいない理由の一つでもあります。

僕は今まで「なんでこんなややこしいタイトルをつけて、既存のタイトルを付けずにリリースするのだろう・・・聴きにくいなあ・・・と思っていました。

でもここ数日、本作のCDのケースに書かれた曲目インデックスを睨みながら、大音量で何回か聴いていてとある仮説に辿りつきました。マイルスは毎回、そのライブで、このメンバーで、この会場で、この日時に、この楽器を使って、このセッティングで、このキーで、このテンポで、演奏することが、「新曲を作っているのと同じだったんだ」、と勝手に想像するようになりました。

というのもマイルスは「スタジオ録音はつまらない」「同じことを演奏することはつまらない」「毎回、新しくならないと退屈」などと各インタビューで答えていました。

スタジオで録音したものを発展させて演奏するライブでは、まったく異なる楽曲として扱ったのだと思います。

さらにフリーなスタイルですし、楽曲をメドレーで演奏していきますから、その1セットが1曲の楽曲となるのだと気づきました。

そしてこのアルバムの楽曲インデックスを見てみますと(僕の持っているCD)・・・

disctrucktitle(スワヒリ語)読み方英訳含まれる楽曲名(わかる範囲)
1Moja(part 1)モジャOneTurnaroudphrase
1Moja(part 2)モジャOneTune in Five
1Wili(part1)ウィリTwoFunk
1Wili(part2)ウィリTwoFor Dave
2Tatu(Part1)タトゥThreeVamp
2Tatu(Part2)タトゥThreeCalypso Frelimo
2Nne(Part1)(Ife)ンネFourIfe
2Nne(Part2)ンネFourTurnaroudphrase,Tune in Five
テンポにキーに小節数まで、すべてがフリーの演奏なので、「含まれる楽曲名」などと書きましたが意味はないのかも知れません。

スワヒリ語のタイトルの意味はそれぞれ「1、2、3、4」と非常に単純なものでした。そもそもアルバム・タイトルをつけたのもレコード会社の幹部で、楽曲タイトルにスワヒリ語を使って付けたのも幹部だったそうです。リリースされた1977年は、既にマイルスが一旦、引退していた時期で、とくにマイルスがかかわってリリースされていたわけではなく、合意もなかったのです。なんだか深い意味がありそうだと思ってたんですけどね。そして7曲目だけは(Ife)とクレジットされています。

会場は・・・Carnegie Hall

会場となったのはカーネギー・ホールです。公式盤としては、1961年「マイルス・デイヴィス・アット・カーネギー・ホール」以来となりますが、録音されていないライブは数々あるようです。1961年の聴こえてくる拍手とは、客層が変わった感じがしませんか?なんとなく品がよさそうな拍手が聴こえていたような・・・。今回はちょっとファンキーな内容ですのでねw。

ジャケット・アートを眺める・・・

本作のジャケット・アートは非常に抽象的です。いったいなんのアートでしょうか?マイルスが積極的にリリースしたアルバムではないことから、そう深く追求する必要はないとは思いますが、Q-マガジンの評では演奏内容をよく表していると高く評価しています。一説にはブレているマイルスの横顔がデザインされているとも言われています。

公開オーディション? メンバーについて・・・

本作は二人のメンバーの「公開オーディション」だったとも言われます。当日、いきなり参加することになったそうです!!

エイゾー・ロレンス(ts)はtruck⑤⑥のみ参加。本作が最初で最後のマイルスとの共演録音です。

Azar Lawrence - Wikipedia

ドミニク・ゴードン(elg)はtruck⑤⑥⑦⑧に参加。『ゲット・アップ・ウィズ・イット』(1970年~1974年)での共演も続けて果たします。

ドミニク・ゴーモン - Wikipedia

昔から同じ楽器奏者を同時に複数人、レコーディングに呼び出す『鬼監督』だったマイルス。同じパートのミュージシャンを競わせました。が、本作はとうとう、観客の前でいきなり試すという、超一流でなければできないことをします。恐ろしいことをしますが、それがこのパワフルな演奏の源でしょう。誰も気が抜けません。そしてこの二人のマイルスとの共演は多くはありませんが、その後の華やかな経歴は各リンク先をご覧ください。

全般をとおして・・・

非常にパワフルでグルーヴィーなライブとしか僕はまだ、表現はできないです。疾走感のあるライブはいくつもありましたが、『パワフル』さと言ったらこのアルバムはNo.1かもしれません。タイトル名に惑わされて敬遠してきたアルバムですが、聴きこむに値する、素晴らしいライブだと思います。とくに”Wili(part2)”(④)でしょうか・・・。冒頭の鍵盤の音が『ゲット・アップ・ウィズ・イット』で聴こえてくるあの音に、デイヴ・リーブマンのソプラノ・サックスの音色の良さ・・・まずはこの曲から聴きこもうと思っています。

そしてこの記事を書くにあたり、僕のメンターさまからDMをいただき、非常に勉強させていただきました(感謝しきれません・涙)。そしてまだそう深く聴きこめてないにもかかわらず、本作の魅力を知って聴くことができました。

話はレビューから離れますが、今回はとくに、聴きこみかたが少なかったので、書くことの難しさも感じました。というのも、『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究』を読んでいたところ、本作の解説に『ゲット・アップ・ウィズ・イット』にも継続して参加できたのがエイゾー・ロレンスであり、ドミニク・ゴードンは最初で最後のマイルスとの共演と誤記載(2008年初版 544ページ。正しくは逆)があって混乱しました。素晴らしい書籍でもこのような間違いはあるのですから、僕のような素人はなおさら、誤りもあると思います。ですがそれに恐れてばかりいては、より深くマイルスを聴いて楽しめません。自分なりに発信をして、間違ったときは、ご指摘やご指導を真摯に受け止めて訂正、加筆するなり、今後も執筆していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

<(_ _)>

 

 

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