マイルスの膨大な作品群の中から初めてどの作品から聴くべきか・・・
マイルスの膨大な作品群の中から初めてどの作品から聴くべきか・・・
これはなかなかのクエッションでしょう・・・。
もうマイルスを聴きこんでおられる上級「マイルス者」さまたちからはそんな壮大なテーマを語ること自体愚かだと聞こえてきそうです。
しかし僕なりの答えはあります。結論からいうと・・・
Dig~Seven Step To Heavenの中から聴き始める
「“Dig“(1951年)~”Seven Step to Heaven“(1963年)の中からライブアルバムを除くどれからでもOK!!」
これが僕の初めてマイルスを聴くかたへの最初の一枚とおススメしています。
いや、これに答えを出すことがはっきり言って意味がなかったり帝王に対して失礼、非礼、無礼なことはわかります。
でもかつて、ワタクシかなやまが純粋無垢金なしの高校生だったころになにもわからずコチラ・・・
”Aura”(1985年)買ったはいいが、ったくわけわからず聴き続けることができずにジャズを聴くきっかけを失いジャズをまともに聴くようになるまでそれから20年くらい経過してしまったのです・・・泣
しかも中山康樹さんはこの“Aura”を「聴いてはいけない」「聴きたくない」一枚としています・・・号泣
こんなに素晴らしい音楽ジャンルを人生の数分の一の期間、聴かなかったきと自体がとてももったいないことだった。決して“Aura”という作品が愚策なわけでもない。
ただ聴くこちらはJポップやせいぜいビートルズやレッドツェッペリンなどを聴いていた身・・・。
やはりこの作品はいわゆる「エレクトリック期」(このようにアコースティック期とエレクトリック期にカテゴライズするとこすらマイルスに対して無礼ともいえるが…)の中でもマイルスが世界に先んじて進んでいった独自の世界観が強すぎると思うのです。
かといって本当に初期中の初期のマイルスの作品の”First Miles“(1945年)~”Conception”(1951年)では
まだまだ録音技術も戦後まもなく決してよいとは言えないので今までデジタルやサブスクで耳が慣れているマイルス初心者には
ジャンルが大きく変わること以外に音質も大きく変わるのはなかなか乗り越え難い壁になるのではないか???
はじめて聴くマイルスがなぜ”Dig”以降がよいのか???LP録音について
そしてなぜ”Dig”からならとOKとなるのかというと決定的なのは初の「LP録音」だからです!!
昭和50年前後生まれのかたにはまだ馴染みのある言葉だと思う「LP」・・・。「ロング・プレイ」の略語です。
昔はアーティストが一連の作品を制作して複数曲を一枚のレコード両面に入れて発売しました。
その一連の作品の一括りを「アルバム」と言ったり「LP」と呼びました。
そしてその一括りの前後に発表される代表的1曲を「シングル」と呼びれは今でも続いています。
最近は「LP」という呼び方をする人はほとんどいないと思います。この「LP」という技術はマイルスやその周りのミュージシャンにも当然大きな影響を与えたことでしょう。
言葉どおり「ロング・プレイ」ですから
1曲の時間をそれまでより長くとれるようになったのです!!ラブやライブ会場と同様、演奏時間に縛られることなくレコーディングができるようになったことは大変意味のあることでしょう。
帝王にとっては収録時間が短いなら、短いなりの答えを導きだすこともたやすいことだったかもしれません。
しかし聴く僕たち側のほうがそれを十分に聴き取ることができるでしょうか???まだまだ録音技術、音質の劣る時代であることは間違いありませんがそれでもマイルスの時間に制約されないレコーディングはたいへん豊かなものになり始めることをきっと僕たち素人も感じられると思うのです。
”First Miles”は中山康樹さんの著書「マイルスを聴け!」のVersion8までのすべてで時系列で紹介されるので当然、最初の1作品目に紹介されるのですがここから聴くのはやや難があると思います。
やっぱり聴きにくい・・・。
僕もこのブログでは一枚一枚、僕なりの感じたことを今後発信していこうと思うのですが、映画”Star Wars”のようにエピソード4から始まり6まで終わってからエピソード1に戻ってエピソード3が最終話となるように”Dig”から発信を始めて、Doo Bop”まで時系列に行って
”First Miles”に戻るのはかなり後にしようかなと
今は考えています。
それが初心者さんにとっても有益なのではないかと思うからです。
中山康樹さんは著書「マイルス・デイヴィス完全入門」(2001年ベスト新書)の中でも
”First Miles”を「ヘタです。」と紹介したり、w
「マニアになったときのために、あるいは老後の楽しみとして取っておきましょう。」と締めくくって紹介しています。爆
またいわゆる”E.S.P.”(1965年)以降から聴き始めることもなかなかハードルが高いと思います。
1965年あたりからのマイルスの作品は次第にジャズというカテゴリーからますます「マイルス」という独自のジャンルに進んでいくことを感じるからです。僕は心地よくて大好きな時期なのですけどね。
ジャズのそれまでの典型的なスタイルとして・・・
- 1 曲のテーマ
- 2 各演奏者のアドリブソロを展開
- 3 曲のテーマに戻って着地
のような構成がとられることが基礎でした。
それが曲全体がずっと「1」を繰り返すだけとか、本来の縁の下を支える伴奏楽器のドラムス、ベースがかえって前面に押し出されてマイルスや他の管楽器が伴奏のようになるようなスタイルなど革新的なかたちがとられることもありました。
Jポップやロックに馴染んできたかたたちにとってはそれまでのマイルスの作品を聴かずに1965年あたりから聴き始めるのはなかなか難しい理由です。
だってやっぱり①イントロ→②Aメロ→③Bメロ→④サビ→⑤ギターなどのソロ
→⑥Aメロ→⑦Bメロ→⑧大サビ→⑨アウトロ着地みたいなのに慣れていると、なんだかモヤっとすると思うのです。
いわゆる「エレクトリック期のマイルス」はあとからで・・・
さらにそれより後期になるといわゆる「エレクトリック期」に入っていきます。
この期間ではむしろロックやヒップホップを聴いてきたかたがたには聴きやすいものもあるかもしれませんが、やはりマイルスの渾身の「一吹き」を感じるには時代のまだ浅いエレクトリック楽器の伴奏に乗っかるより往年の楽器に支えられてのものを聴いてからのほうが僕たち素人にはわかりやすいと思うのです。
決して「エレクトリック期が劣る」ということを言いたいのではありません。
素晴らしい「マイルスという音楽ジャンルを確立した」というよりは「マイルスという文化(音楽、ファッション、スタイル、人生)」がこの「エレクトリック期」にはあるあるのだと思います。
でもね・・・
中山康樹さんは前述の「マイルスデイヴィス完全入門」のなかでこうもおっしゃっています。
「マイルスのCDに『ハズレ』はなく、なにをどかから聴いても裏切られることはない」(74P)
・・・いやあ・・・僕は”Aura”から聴いてしまったことを今でも悔しく思ってますw。
ま、でもこうしてブログで書いたりマイルスファンと「最初に聴いたマイルスはどれ???」みたいなトークができることが僕の幸せであり、真の「マイルス者」になるためにはかかせない要素になることでしょう・・・w。
書籍の紹介のほうがメインになりつつある当ブログですが次回からは作品を紹介したりしてみようかなあと思います。
どうぞこの先もおつきあいのほどよろしくお願いします。<(_ _)>
コメント
むむーなるほど!