【マイルスデイヴィス完全入門】中山康樹著 マイルスを聴くための本② レビュー 

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前回はマイルスを聴くうえでお勧めの書籍を1冊紹介しました。

自分は3冊の書籍があると本当にマイルスをただ聴くより

時代背景やマイルスの周りの人々(とりわけ家族や巨匠と呼ばれるミュージシャン)が

わかったほうが断然、聴いていて面白くなると思います。

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マイルスを聴くための本②・・・マイルスデイヴィス完全入門

2冊目にご紹介するのもやはり故中山康樹さんの著作、

「マイルスデイヴィス完全入門 ジャズのすべてがここにある」です。

僕、実はミニマルな生活も目指していてこの本を手元におかずに、我が町の図書館で借りて済ませようと思っていた。

でも、図書館にはなく、Amazonでも中古でしか売っていなかった。

中古で買ってみてこちらの本にもうっすらといくつかの箇所に鉛筆で線が引いてあるのでした。

そしてタバコ臭い・・・。

ジャズとタバコはとっても相性がよさそうですので仕方ないでしょうか・・・。

図書館にもなく、絶版の書籍なので実購入してみました。

冒頭の「はじめに」のところを引用しますと・・・

さあ、マイルスを聴きましょう。

マイルスはすばらしい、ほんとうにすばらしい、そう思います。

いかにすばらしいか、いかにすごいか。

マイルスさえあれば、人生、やっていける。

マイルスデイヴィス完全入門 著者 中山康樹 2001年

僕もこの文に影響されたのか、多分残りの人生はマイルスだけでやっていける・・・

そんな気がしていて、最初の1ページでこの本を買ってよかった、出会ってよかったと思いました。

だって、聴かなくても生きていける音楽でこんなに人生、「どんなことあってもやっていけそうだ」なんて思えるなんてすごく幸運なことだと思うのです。

音楽はマイルスだけでいい・・・!?

そしてジャズを音楽を聴くにはマイルスだけ聴けばいい、とさえ言っているようなそんな全体の仕上がりの本となっています。

確かにそうなんです。

マイルスを聴くとジャズになんの知識もなかった当時の僕でさえ知ってたり、曲を聴いたことさえある巨匠と言われるミュージシャンたちがたくさん出てくるのです。

ジョン・コルトレーン、キャノボールアダレー、ハービー・ハンコック、ソニー・ロリンズ、

ロン・カーター、アート・ブレイキー、、ビル・エヴァンス、ジョージ・ベンソン

チック・コリアなどなど・・・数え切れません。

本当にいろいろな巨匠たちがついてくるとこの本の中でも述べられていますが

こりゃすごいなと思いました。

しかし、この本のすごいところはこれだけではありません。

上級、中級者こそ「入門書」を読む!?

実はこの本、題名どおりのように、入門者が買って読む本にはとどまらないのです。

上級者、中級者の方々こそ、このような「入門書」と言われる本を買う傾向にあるのだと

確か高野雲さんがご自身のYouTubeでおっしゃっていました。

ジャズに関する「入門書」と呼ばれるものって、ほかの分野やカテゴリーとは違い、買ってまで読む人ってのは上級者に多いのだそうです。

本を読んでまで、ジャズのとある分野に特化して読んで曲を聴くという行為自体、かなりマニアックで入門者には難しいことなのだと言っておられました。

マイルスの聴き方 基本編・・・

また、「マイスルの聴き方 基本編」という章の中の「なにから聴くか、どこから聴くか」という解説に注目します。

それはボックスセットや「ベスト盤」なるオムニバス盤、コンピレーション盤、企画盤、編集盤、はたまた廉価盤などは「恥ずかしい」と言っています。

マイルスを例えばバラードでくくって編集されたCDなんてのは聴いていて、題名を見ていてこっちが恥ずかしくなるという・・・。むーん確かにそうですね。

入門の段階で聴いてはいけないマイルスのアルバムがある!?

そして入門の段階では聴いてはいけないというのが帝王マイルスの作品にすら存在するというのです。

入門初期に避けるべき作品とは、「マイルスを聴け!」シリーズの必ず最初の1作品目に紹介される“First Miles”(1945年)が1例です。

また、僕が衝撃をうけたのが、まさにジャズ入門者だった僕が高校生の時に買った“Aura”(1985年)という作品も聴いてはいけない!と言うのです。

これ、本当に純粋で無垢でお金のない高校生だった、僕、かなやま少年は、なけなしのバイト代を使っていろんな音楽を聴いていました。

その時はまだサブスクはもちろん、インターネットも普及していない時代、またレンタルCDだってツタヤがあったけれど年会費500円くらいも惜しくて会員にはならなかったし。

1枚2000~3000円のCDをズラリと並べて、今夜は何を聴こうかなって・・・それが楽しかった。

CDを所有することが幸せだった。

僕は“Aura”をプレイヤーにかけて驚いた。

なんなんだ、これは?

これがジャズなのか?・・・と・・・。

僕の想像していたのは「A列車で行こう」とか“Moanin'”とかああいう感じだったわけで・・・。

こんなシンセサイザーとかエレキギターとか、なんで???ベースはウッドベースじゃないんか~い!?ってなり、マイルスってこういう音楽なんだ、わけわからん・・・ってなって聴くのを辞めてしまった。

CDを並べるのが楽しかった(聴くのでなく、並べるのが楽しかった)僕は、それをけっこう最近まで処分も転売もせずに棚に保管していた(今はスマホに入っていていつでも聴ける)。

もし僕がその当時、“Bags Groove” “‘round about midnight” ”Milestones”とか“Kind of Blue”を買っていたならきっと今頃は脱サラしてジャズ喫茶を経営してたかもしれないし、最低でもジャズ喫茶の雇われ店長を目指して日々、仕事に没頭していたんじゃないか・・・

それぐらい、罪な作品”Aura”が、入門時に聴いてはいけない作品の輝かしい、なんと「ナンバー1」に選ばれているのであった・・・泣

あの時の2千数百円を本当に返していただきたい(誰にやねん・・・)。

しかし、100以上はゆうに超える 作品群の中からナンバー1を引きあてた、かなやま少年って・・・。どんだけ引きが強いのか・・・。とほほ・・・。

「マイルスディヴィス完全入門」 をお手元に・・・

とこのようにジャズやマイルスに上級と思われるかたから入門のかたまで、

幅広く読んで楽しいこの「マイルスディヴィス完全入門」。

絶版ですが中古でお買い求めください

きっとあなたの音楽ライフになにか気づきと笑いを与えてくれるでしょう。

そして今回も「中山さん、ありがとう」と天国に向かってつぶやく、わたくし、かなやまでした。

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