Sorcerer 概要
1967年(7曲目だけ1962年) Columbia
Wayne Shorter | ts |
Herbie Hancock | p |
Ron Carter | b |
Tony Williams | ds |
Bob Dorough(⑦) | vo |
Paul Chembers | b |
Jimmy Cobb | ds |
Willie Bob | per |
いわゆる、ショーターの参加したスタジオ録音四部作の中の3作目で、中山康樹さんが「マイルスを聴け!Version7」で四部作中いちばん重要として、通常のアルバム紹介の倍のページを使って紹介しているアルバムとなります。
僕のような浅はかな勉強中の者にとっては、全般的に「コレ!」って特筆すべきことが難しい、さらっと流してたら、お部屋のBGMになりかねない、そんなマイルスの中でもふんわりした一枚という位置づけが僕の感想。
前作、Miles Smilesから約半年の1967年の5月に本作、6月に次作Nefertitiがレコーディングされます。
とうとうマイルス自身の作曲の楽曲がなくなります。
メンバーの持ってくる楽曲が本当によくて、マイルスは総監督と自身の演奏に集中できたと、自伝の中でも語っています。
アルバム・ジャケットを眺める Sorcerer
アルバム・ジャケットの女性はマイルスの4番目の奥さんになるシシリー・タイソン(女優)です。
結婚していた期間は1981年から1988年。このジャケットに登場してからしばらく時がたっての結婚です(ベティ・デイヴィス【ヴォーカリスト】との3回目の結婚は1968年~1969年)。
中山さんによると本作と次作Nefertitiは2枚セットであり、ジャケットを並べるとふたりが「コンニチハしてる」とのことです。w
これら2枚はあくまで数あるレコーディングから偶然できたわけではなく、計画的に作られたものだそうです。
楽曲を聴く Sorcerer
Prince of Darkness を聴く
ここでいう「プリンス」とはマイルスのこと。
ショーターの作曲です。
ハンコックがソロイストの後ろで伴奏しないスタイルは本作でも聴かれます。
自由にその分、トニーが叩きます。
Pee Wee を聴く
俗語でしょうか?とても小さい人のような意味だと思います。
トニー・ウィリアムスの作曲で、トニーのリーダーアルバムAngel Street(1988年Blue Note)にも入っているそうですよ。マニアの皆さま・・・。
とうとうマイルスは作曲から身を引いただけではなく、演奏にも参加しなくなった1曲です。
そこが中山康樹さんの、本作を通常のアルバムの倍を使って解説しなかればいけない理由で、中山さんの言うところの「マイルスの音になっている」ということです。
「どこを切ってもマイルスの音がしている」
しかし、すごいですよね。考えてもみてください。
マイルスのリーダーアルバムの、1曲だけとはいえ、マイルスが作曲もしてなくて、演奏もしていない、ショーターがリーダーとみられるカルテット演奏が収録されているわけです。
これもまた新しいマイルス・クインテットの試みの一つですね。
そして帝王の存在感です。
中山さんの「マイルスを聴け」のようレビューに触れなければ、僕のような浅はかな者には、けっこう気づかずに何度も聴いているかもしれませ。
本当にありがたい書籍です。
Masqualero 聴く
ショーター作曲の8ビートの曲。8ビート登場はE.S.P.の2曲目Eighty-One以来です。
The Sorcerer を聴く
ハンコックの作曲。
「魔術師」という意味だそうです。
Limbo を聴く
ショーターの作曲。
ハンコックがこれでも伴奏していないことに気が付きます。
かわらず吠える、トニーのシンバルとスネア・・・。ステキ。
Vonetta を聴く
ショーターの作曲。
二回目となりますが「ショーターの親戚の名前」からのタイトルです。
ショーターは親戚づきあいがよかったのかしらん?w
(Doloresというショーターのいとこの名前のタイトル曲はMiles Smilesに)
あ?終わった・・・。浮遊感のまま終わる、抽象画のような1曲で、この名作は終了します。
!?
ええ、終了ですよ。
これにておしまい・・・。
いや~マイルスって、やっっっぱり、素晴らしいですねぇ・・・。
それではまた、次回のアルバムでお会いしまし・・・・・・・・・・・・・???
(聴かなくていいんだけど・・・)Nothing like You を聴く・・・w
どうしました?帝王???
なにかありましたか?
コロムビアに特別ボーナスでも目の前に広げられ、いたしかたなくですか?
僕の持っているCDのライナーノーツでは村井康司さんが、
「マイルスを聴け!Version7」では中山康樹さんが、
「マイルス・デイヴィス大事典」では小川隆夫さんが、
僕の友達のS君が飲み会のときに・・・
友達の友達のお父さんは・・・
と、次々に口を揃えていうのがこの曲の「謎」・・・。
2分弱のこの曲がこのアルバムの評価を下げてしまっているとまで言われてますね。w
ボブ・ドローなるヴォーカリストがほんわか歌います。
録音されたのもこの1曲のみ1962年に遡ります。
メンバーも前述のように異なります。
いったいどうしたと言うのでしょう・・・?
中山さんは「マイルスを聴け!Version7」の中で「この地球上から消えてほしい」とまで言っておられます。爆w
さらにはたいへんマニアックな話ですが、「オランダCBS社が、この曲を除いて、さらには曲順を変更して、アナログレコードをリリースしている」とのことです(さすが中山さん)。
ちなみにその曲順は①→⑥→⑤→③→②→④だそうです(マニア~~~w)。
冷静な小川隆夫さんは大事典の中で「ショーターとの初共演を記録した吹き込みとして史的な価値がある。」と解説をしておられます。むむむ・・・。
全般をとおして・・・Sorcerer
1曲ずつのレビューが少ないことに、僕のレベルが露呈しております。w
一番長い文章が最後の「この地球上から消えてほしい」1曲について・・・というのが僕らしいレビューかと思います。
次作、Nefertitiとセットのアルバムですので、また書きたいことは次回にまとめてとさせていただきたく・・・。
今回もお付き合いいただきまして、誠にありがとうございます。
<(_ _)>
中山康樹さんの「マイルスを聴け!」はversion8までありますが、ブートレグを制覇しなくてもいいかたはversion7でも十分で、コスパもいいと思いますよ。
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