【マイルス・デイヴィス】IN PARIS FESTIVAL INTERNATIONAL DE JAZZ アルバムレビュー 考察80 

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IN PARIS FESTIVAL INTERNATIONAL DE JAZZ 概要

筆者<br>かなやま
筆者
かなやま

気がつけば今回でちょうど100記事目・・・。アルバムとしては80作品目の記事です。

皆さまに支えられてここまで書けました。ありがとうございます。

筆者かなやまの自己紹介欄はこちら。

1949年 Columbia

Tadd Dameronp
James Moodyts
 Barney Spielerb
Kenny Clarkeds

マイルスはギル・エヴァンスなどとの小型オーケストラで『バース・オブ・ザクール』(「クールの誕生」1949年)をゴージャスに録音しましたが、本作でまたビバップ色強い、情熱的なジャズを再び演奏します。

パリにおいてタッド・ダメロンを中心にしたバンドでツアーに出ました。『パリ・フェスティヴァル・インターナショナル』と名付けられたイベントに参加。タッド・ダメロンのカルテットにマイルスが参加するような形です。ジャケット上(クレジット上)は『ザ・マイルス・デイヴィス/タッド・ダメロン・クインテット』とされています。

ケニー・クラーク(ds)は後の『バグス・グルーヴ』(1954年)などにも参加しているマイルス初期のバンドにはかかせないビバップ期の代表ドラマーです。

その演奏をフランスの国営放送ラジオ局が録音したものをレコード化したものが本作です。なんとこのフェスティヴァルには対バンドとしてチャーリー・パーカーも参加していたそうですので、マイルスのモチベーションも高かったことでしょう。聴くと若々しいマイルスのエネルギッシュな演奏を聴けます。音質はあまり求めないほうがよいでしょう。

楽曲を聴く・・・IN PARIS FESTIVAL INTERNATIONAL DE JAZZ

音質は聴きにくいものですし(とくにアナログ・レコードのB面にあたる⑤~⑨曲目)、ラジオ局の録音ですのでラジオMCのフランス語のメンバー紹介などが入るのですが、それもまた一興・・・。モノラル録音された音の塊を聴いてみるとそれまたいいものです。

タッド・ダメロン(p)の作曲で、ジャズ・スタンダード④『レディバード』と、ジャズ・スタンダード⑨『オール・ザ・スィングス・ユー・アー』あたりは聴きやすく楽しめるものとなっています。

『リフタイド』からマイルスは好調。なんだかエレクトリック期の歯がゆい、体調不良で、身を削るような演奏を最近は聴き続けてきたせいで、僕には爽快に聴こえます。

マイルス考古学的に注目ポイントとしては、今までチャーリー・パーカー親分のもとでは、熱狂的な音をブロウしていたマイルスでしたが、③『ドント・ブレイム・ミー』や⑦『エンブレイサブル・ユー』では、今後のアルバムで遺憾なく発揮される、本来のマイルス持前のバラード演奏を聴かせます。ただ音質としてはか細く聴こえていまう貧弱な環境ではありますので、あくまで『考古学的にマイルスを聴く』という観点でいけば、非常に興味深く、ういういしくも感じられます。

楽曲を『マイルス・デイヴィス大事典』小川隆夫さん著)で1曲ずつ紐解くと、40年代に既に、チャーリー・パーカー親分とともに録音したナンバーが多いことに気がつきました。僕はチャーリー・パーカーというとベスト盤くらいしか持っていないのでそんなに多くは聴いたことはない楽曲が多いのですが、既にマイルスが親分の熱狂的なビバップを肌身で感じてきた楽曲が選曲されてきたことに気づきます。

変化するマイルス・・・IN PARIS FESTIVAL INTERNATIONAL DE JAZZ

『バース・オブ・ザ・クール』でゴージャスに小型オーケストラをギル・エヴァンスなどと聴かせてくれたマイルスですが、本作でもう大きく転換してくれます。この時期にもう既に新しいものへ・・・変遷していこうというマイルスの気概が現れ始めました。実は、大変革です。

本作は、本来の古典的ジャズとかビバップとか、そういった感じです。僕にはやはりこういうほうが聴いたことの少ない心躍るジャズを楽しめて好きですけどね。聴いている回数はまだまだですが・・・。

中山康樹さんも『マイルスを聴け!Version7』で『40年代のマイルスを知りたければ、まずこれだ』と断言しておられます。中山さん的には40年代のマイルスは『ファースト・マイルス』(1945年~1947年)でも『バース・オブ・ザ・クール』(1949年)でもなく、本作だ!!と言ったところでしょうか。さあ、マイルスを聴きましょう!!

 
 

続きがある本作・・・IN PARIS FESTIVAL INTERNATIONAL DE JAZZ

このフェスティヴァルに参加した模様を記録したブートレグはSo Whatレーベルから”Miles Davis In Paris 1949″としてリリースはされています。チャーリー・パーカー親分との共演『フェアウェル・ブルース』が収録・・・キリがないなwww。

『勝手にマイルス考古学』のこれから・・・

当ブログ、『勝手にマイルス考古学』のこれから・・・についてちょっと書きました。

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