【マイルス・ディヴィス】Birth Of The Cool アルバムレビュー 考察79

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Birth Of The Cool 概要

1949年~1950年 Capitol

邦題『クールの誕生』。

同タイトルでマイルスの映像、音源、真実の顔に迫る映画が2020年9月に公開されています。

ギル・エヴァンスとの出会い

1947年、マイルスはギル・エヴァンスと出会います。ギルは生涯にわたり多大な影響を受け、アレンジャーとして強力なタッグとなりました。

彼は当時、他の音楽団にアレンジャーとして所属していました。参加しているミュージシャンとのディスカッションが元になり、本作は完成したとされます。

チャーリー・パーカーと別の路線へ デューク・エリントンのような音楽を目指して・・・

当時のジャズ・シーンは、ニューヨークを席捲していたチャーリー・パーカーディジー・ガレスピーのものでした。しかし、チャーリー・パーカーは薬物や酒に溺れることも多かったそうです。

展開が目まぐるしくリズムの速いビバップは、マイルスが本来やりたかったジャズではありませんでした。デューク・エリントンのやっているような、ときには恋人に口づけをするような優しい音楽をやりたかったのです。

マイルスはレニー・トリスターノ(p)の影響も受けていました。

それらを融合したマイルスのセンスは既にこのあたりから発揮され始めたとしてもよさそうです。

そこで本作はマイルスを中心にギル・エヴァンスなどとともに9人、10人編成で制作された楽曲集となりました。

小川隆夫さん著『マイルス・デイヴィス大事典』の本作の解説をお借りすると・・・

『小型オーケストラ』の構想を実現したアルバムです。『編成を最小に絞ったオーケストラの中で繊細な音楽を表現すること、オーケストレーションとソロイストの理想的な繋がり』これが本作の聴きどころ・・・>

ぐぅむ・・・さすが小川さんの解説です。唸ります。聴きどころがわかって、今までより有機的に聴こえてきます。

Capitol について

キャピトル・レコードからリリースの本作。1942年にロサンゼルスで設立されたレコード会社です。

楽曲について・・・

⑧Boplicity について・・・

⑧曲目『バップリシティ』についてはあえてここで言及する必要があります。

ゴージャスなビッグ・バンドの演奏といったところですが、前述のとおり最小のバンド編成。この曲の作曲はクレジット上“Celeo Henry”となっていますが、実際はマイルスとギル・エヴァンスの共作です。マイルスの母である『クレオ・ヘンリー・ディヴィス』からとった架空の人名です。

マイルスは『オレは自分の契約会社とは違うところに渡したかった』楽曲となったと『マイルス・デイヴィス自伝』で述べています。本作の中でもマイルスの上出来のナンバーになったのでしょう。

全般をとおして・・・

ジャズを聴くうえで、本作は初期の重要アルバムなのか?

中山康樹さんが『マイルスを聴け!』の中で本作に疑問を呈しています。

本作をジャズの歴史の初期のほうでは重要な作品で、これを聴かずにジャズは語れないというような論説が多いのです。

中山さんが言うのですが、本作でしか聴けないといった重要なものや感激は、確かに聴き取れない気がします。後にリリースされるマイルスのアルバムを聴くと、革新的な技法やサウンド、マイルスらしい音数の少ないシンプルな演奏など、特筆すべきことはいろいろあります。

本作に特別、特別に賞賛するところがない・・・とも中山さんからは見えるのです。

また、このタイトルの『クール』という言葉・・・。決して『冷たい』と訳すわけではもちろんありませんよね?『かっこいい』的な意味です。

『あいつはクールな奴だ』といったときに『冷徹な奴』とも取れますが『すっげ~かっこいい奴だ!』・・・しかも最後に『!』マークが入るようなかっこよさ・・・それを意味します。

そんな意味がこの『クール』にはあるのだと思います。タイトルは当時、見向きもしなかった白人たちがマイルスを見直すきっかけになった素晴らしいタイトルだったことは『マイルス・デイヴィス自伝』の中でマイルスが語っています。

ですので本作は前回ブログに書きました『ファースト・マイルス』同様、『老後の楽しみ』として、マイルスの1940年代はこんな時期もあったんだなあ・・・と知る程度でも十分なのかもしれません。

本作を何度も聴くよりは、もっと繰り返し聴くべきマイルスやその他のジャズ・アーティストはいくらでも無数にあると思います。

もちろん、マイルスに聴かなくていいアルバムが1枚としてあるわけではありません。身を任せてゆっくり、大音量でスピーカーを鳴らせば、ジャズはワクワクするいい音楽だなあとしみじみしますw。

ジャズを聴くようになった人が初期に聴かなくてもいい・・・その程度です。中山康樹さんに影響を受けすぎなワタクシ、かなやまなのです・・・w。

  • ギル・エヴァンスと共同で制作した
  • 何人かのミュージシャンとディスカッションの上でマイルスが音楽指揮をとって制作した
  • 編成を最小に絞ったオーケストラの中で繊細な音楽を表現すること、オーケストレーションとソロイストの理想的な繋がり』を追及した(前述、小川隆夫さん談)

この三点をわかって聴くと、中山康樹さんが言うほどこのアルバムは評価を低くする必要のない、素晴らしいアルバムだと、僕は珍しく中山さんの論調を言い返せるようになったなと思います。

聴いていて楽しい、気持ちいい、優美で、ゴージャス!!

マイルスを聴きましょう!!

 

 

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