BLACK BEAUTY 概要
1970年 Columbia
Steve Grossman | ss |
Chick Corea | elp |
Dave Holland | b, elb |
Jack DeJohnette | ds |
Airto Moreira | per |
1970年4月10日、サンフランシスコのフィルモア・ウエストでのライブを収録したものです。なんと最初のリリースは日本限定で1973年だったそうで、マイルスの来日にあわせたものでした(アメリカでは1997年にCDでリリース)。
マイルスは本当に親日家でしたが、それ以上に当時の日本もジャズの人気が現在よりもず~っとあったんでしょうねぇ。どうでしょう?諸先輩の皆さま・・・。当時のLPは1枚目A面をBlack Beauty part1、B面をBlack Beauty part2、2枚目B面をBlack Beauty part3、B面をBlack Beauty part4と表記して、曲で区切ってはいませんでしたが、現在のCDでは楽曲ごとに①~⑨曲にきちんとわけられている2枚組となります。
人気盤『ジャック・ジョンソン』録音の3日後のライヴ盤。“フィルモア・ウェスト”でのステージで、マイルスは当初大会場でのライヴを嫌ったが、これを機にロック系を含む多くの若者の人気を博すことになった。(CDジャーナル データベースより)
会場のフィルモア・ウエストについて・・・
フィルモア・ウエストはLive at the Fillmore East (March 7,1970) It’ About That Time(1970年3月7日)の収録された「フィルモア・イースト」(ニューヨーク)のサンフランシスコ版で同じく「ロックの殿堂」と呼ばれました。リンク先にフィルモアの「イースト」、「ウエスト」について、経営者のビル・グラハムについて書いてありますので、ご参照ください。
楽曲について・・・BLACK BEAUTY
当時のマイルスの定番楽曲が今回も並び、フィルモア・イーストから約1ヵ月の録音でありながら大きな違いはサックスにウエイン・ショーターからスティーブ・グロスマンに代わっているところが本作の特徴の一つです。
「ア・トリビュート・トゥー・ジャック・ジョンソン」の録音からわずか3日後のライブです。「ジャック・ジョンソン」ではマクラフリンのエレキ・ギターが特徴的でしたが、本作ではギターはない編成です。それでもチック・コリアのエレピがリング・モジュレーターという変調器を使って時にはエレキ・ギターのように、ときには現代にも十分通じるコンピューター・サウンドのように、この日のバンドの音圧を担っています。
島村楽器さんのサイトで紹介されてますのでリング・モジュレーターについて下記、参考にしてください。
リング・モジュレーター効かせすぎではございませんか?とチックに問いたくなるようなところ、DISC1の1曲目「ディレクションズ」のエンディング部分、2曲目「マイルス・ランズ・ザ・ウードゥー・ダウン」ではソプラノ・サックスとドュオになっている8分過ぎからエンディングまでと、DISC2の最後の1曲「スパニッシュ・キー/ザ・テーマ」の11分過ぎのエンディング部分なんて、それはそれは、スペクタクルなサウンドが聴かれますw。
約1ヵ月前と比較しても大きな音の変化があることが聴いてとれます。
全般をとおして・・・BLACK BEAUTY
本作は僕にとってはかなり、後回しにしていたアルバムです。中山康樹さん著「マイルスを聴け!Version7」の長所でもあり、短所でもあると思いますが、中山さんのレビューにあまり肯定的なことが書かれていなかったことから、僕が貴重な時間をこのアルバムに当ててこなかったことが否めません。マイルス者の道は遠い・・・orz。
僕の場合、わかりやすさは電化マイルスのライブ・アルバムには必要なのですよね・・・。まあ、「ドバ~ッ!」とが基本のマイルスのライブ・アルバムなので、これももちろん、素晴らしい作品です。でもこればかりを聴く理由が僕には見当たりませんでした。
今回、ブログを書くにあたり、聴きなおしてみましたが、中山さんファンでもある私は、中山さんの言っていることが先に入るとどうしても、中山さんの聴き方、レビューが大きなウエイトをしめてしまうようです。聴いたことは聴きましたが、うんうん・・・電化マイルス・・・という感じです。
おそらく帝王への冒涜にはなりますが、Live at the Fillmore East (March 7,1970) It’ About That Timeやこの先に出てくるMiles Davis at Fillmore(1970年6月)があれば、本作は後回しにして十分な位置づけになってしまいます。
本作の謳い文句は「日本限定」「ノーカット」ということもありました。中山さんは「ノーカット」についてはテオ・マセロ(コロムビアのプロデューサー)の編集が入るべき箇所が多い、「ダル」な場面もあるとしています。例えばスティーブ・グロスマンのソプラノ・サックスは編集されて切られていてもいいのだそうです。
僕はどこがどうとか、なかなか言えませんが、やっぱり本作より先に繰り返し聴きたいアルバムはたくさんある・・・と思います。確かにDISC2の「ビッチズ・ブリュー」のスティーブのソロを引き合いにだすと・・・む~ん、物足りない・・・。そんな気がします。
ショーターだと二期黄金クインテット・サウンドになってこの電化サウンドには不一致な感じもするし、このスティーブだと「シャウト感」が足りないという個人的感想・・・。あまり僕の言うことや中山さんの著作に影響され過ぎず、中立に音楽は聴いていくのが当然、いいですよね。他人がどう言ってるかより、自身で感じるほうがいいですね。
それでもあえて言うなら往年のI Fall in Love Too Easily(初演はSeven Steps to Heaven、1963年)が4曲目に入っていて、エレピとパーカッションとマイルスののびやかなトランペットのコラボが久しぶりに素朴な音を聴けたことは、時系列に聴いていくると「おおお?」となります。
ここではスティーブのソプラノ・サックスもおっかなびっくり?かはわからないですが、マイルスに追従するように沿うている感じは、ん~いいですね・・・。散々、勝手に言ってますが、Bluetoothヘッド・フォン装着し、大音量、ノリノリで、さっきまで家族のお皿を洗ってましたけどね・・・w。
マイルスのトランペットは鳴りに鳴っていて、エレキ・ギターのディストーションをしのぐシビれる音です。
その他、聴きどころはAmazonの購入者レビューでもたくさんのかたが書いておられ、評価も非常に高い・・・熱心なジャズ・ファンが多いことには驚かされます。公式盤ながら、僕の「老後の楽しみ」リストにまた一つ、本作が入ってしまいましたw。
そんな簡単なレビューですが、今回はこのへんで・・・。でも、「マイルスに聴かなくていいアルバムはない!」には変わりはありません。マイルスの足跡をたどる当ブログはまだまだ続きます。
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