【マイルス・デイヴィス】Quiet Nights アルバムレビュー 考察34 

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Quiet Nights 概要

1962年1963年 Columbia

Victor Feldmanp
Ron Carterb
Frank Butler(⑦)ds
Gil Evansarr
不詳だったりたくさんいるので割愛

このアルバムはいわくつき・・・

もともとリリースする予定のなかったレベルでのマイルスとギル・エヴァンス試行段階の録音です。

たった約28分!!

それをあろうことか、契約上の理由でコロムビアのプロデューサー、テオ・マセロがリリースしてしまったというものです。このアルバムリリース以降2年半、マイルスはテオと口をきかなかったということになってしまいます。

しかも録音した6曲で尺が余ってしまう。

そこで1963年4月に録音したロン・カーターなどが参加した1曲を追加して計7曲として半ば強引にリリースしてしまったのです(それでも28分!)。

今もご活躍のレジェンド、ロン・カーターの名前がパーソネル上で初めて登場です。

ロン・カーター - Wikipedia

大きな大きな手で、背丈はウッド・ベースと変わらないくらい高くて、昔テレビでみかけたことあるかたも多いのではないでしょうか。

自伝の中でマイルスはテオとしばらく(2年半)口をきかなかったと言っています。

前述のおかしなリリースがその理由です。

マイルスはゴダード・リバーソン(コロムビア社長)にテオをクビにするようにいったそうですがゴダードがなだめた、マイルスが広い心でもって今までの功績からもテオを許したようです。

3,6曲目でボサノヴァに挑戦したマイルスとギルでしたが、決して納得できるものではなかったのですね・・・。

ですのでアルバム・ジャケットもなんだかマイルスとの整合性がとれていない感じが僕はしますし、ラスト7曲目だけはまったく異なる演奏内容です。

決して評価が高いアルバムではないことは早めに記述しておきます。

楽曲を聴く・・・Quiet Nights

試行段階の1~6曲目を聴く

おおおお・・・なんと学校の授業で聴いた曲のような平和な感じの1曲目『ソング・ナンバー・2』。

続いて哀愁漂う2曲目『ワンス・アポン・アサマータイム』・・・。ギルとの試行錯誤がうかがえる曲。

マイルスのオープン・トランペットがギル・オーケストラにのる。

ミシェル・ルグランの有名な曲ですがマイルス達にかかればこのような雄大な曲になりました。

ミシェル・ルグラン - Wikipedia

このへんもまだ彼らにはリリースレベルではなかったと思われますが、今までのSketches of Spainなどお好きな方には問題ないレベルですよね。

3曲目、6曲目のボサノヴァも納得するレベルではなかった。

それでもマイルスは新たな試行をしていたということですね。

ボサノヴァにマイルスがしばらくはまっていたらこれから始まる新たなセクステットの伝説は生まれなかったと思えば試行段階で終わってよかったと僕は思いますけどね。

7曲目はこれからにつながりそうなバラード・・・Summer Night

そして7曲目Summer Night・・・

前述ですがこの1曲だけメンバーも録音した日も全然異なります。

今後のセクステットへの期待が高まるバラードとなっています。

今までのメンバーが辞めたいとの申し出で困ったマイルスはこの時期、薬物から服役していたが出所したソニー・ロリンズなんかともいろいろなミュージシャンとセッションをしていたようです。

1963年のツアー中にビクター・フェルドマンフランク・バトラーを雇ったそうです。

そこで行われた試行段階での演奏がこの曲。

冒頭のピアノの感じが今後のクインテットのハービー・ハンコックを連想させるようなタッチに聴こえる気がしますし、ロンのベースの一音一音が太く温かい

ロンはマイルスより11歳ほど年下ですが堂々としたものです。

”I wanna play another one,xxxxx”(聞き取れません・w)。

いつものハスキーなマイルス。最後「もう一回やろう」と言っているのは確かです。

この一言がすべてではないのですが、僕のようなマイルス者は、マイルスがきっと高みを目指して積極的にまだまだ録音をしたかったと信じたいところ。高いモチベーションがマイルスにはあった。

それが実現するのが次の名作Seven Steps To Heaven であると僕は勝手に思いたい!!

Quiet Nights 全般をとおして・・・

難解なギルとのコラボ作品というと、僕はなかなか聴く回数も少なかったのは正直なところ。

さらにマイルスになじみのないボサノヴァの試行、

さらにさらに未完成のうちにリリースされてしまった楽曲たち

さらにさらにさらにコンセプトがまったく異なるラストのSummer Time

僕のようなマイルス者が聴くべきアルバムということでいいのではないかと思います。

あとはロンの初登場

最後のマイルスの一言「もう1回やろうよ」に28分を聴いてよかったと救われるような気さえします。w

最後に・・・

中山康樹さん著 「マイルス・ディヴィス完全入門」では「マイルスの聴き始め初期に聴いてはいけない」の項にランク・インしていることは申し添えます・・・w

次は大好きなSeven Steps To Heavenかあ・・・。

またじっくりと聴いてから書きたいと思います。

今日も最後までお読みいただきありがとうございます。

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