Nefertiti 概要
1967年 Columbia
Wayne Shorter | ts |
Herbie Hancock | p |
Ron Carter | b |
Tony Williams | ds |
ネフェルティティ王妃・・・聞いたことある、あの胸より上の像が有名なあの、エジプトの王妃の名前からでまちがいないですよね?断言できない勝手に考古学者気どっているかなやまです。w
ショーターが参加してからの4部作のスタジオ録音。これがいよいよ最終話となります。しかし、後年、Water Babiesというオクラいり楽曲集が発売はされますが・・・(それは次回でしょうか)。
僕のTwitterの、数は少ないけれど、優しくて博識高いフォロワーさまは、この頃のアルバムを「オールド・マイルスの結論みたいなアルバム」と表現されておられましたが、なるほどなあ、ここで一旦の「結論」を感じますね。
で、その後の「電化」「エレクトリック化」という、時代の変化にも先進的に適応というか・・・。
いや、新たな音楽、文化を提案するマイルスの別の時代が始まっていくわけですねぇ・・・。しみじみ。w
試み→結論(一つの)
そんなマイルスのとある時代の名作(結論)だと、考えていいと思います。
この四部作ではマイルスの作曲の楽曲が消え、マイルス自身の演奏が消え、本作消えるのは・・・?
下記の楽曲の稚著レビューでお話しさせてください。
【再掲載】「コンニチハ」の2枚セット・・・Nefertiti
前作、Sorcererでも書きましたが、本作とセットと考えてよい本作。
Socererの翌月に録音されました。
こうして並べて眺めることができるのが、ストリーミング、サブスクにはない楽しみですね。w
「コンニチハ」は中山康樹さんの「マイルスを聴け!Version7」のレビューから拝借しております。
本当、中山さんってユーモアある解説してくださったなあ・・・。w
楽曲を聴く Nefertiti
Nefertiti を聴く・・・
前述のネフェルティティ王妃の名前から。
ショーターの作曲。
妖艶にはじまるこのアルバム・タイトル曲。
もう頭から離れません、延々、リピートしております。
時々、仕事中に口笛吹いております。w
本作、この曲で消えたものは、とうとう誰もアドリブ・ソロをとっていない・・・。
「なんということでしょう」
アドリブ・ソロがないのです!!
すごいですね!!
この新しいアプローチについて、僕の持っているCDのライナー・ノーツでは熊谷美広さんが解説しておられます。
その中で、このアルバムのリリース当時、巷では「マイルスによる、アドリブへのアンチテーゼだ」と議論されたのだそうです。
なるほど、マイルスはジャズの醍醐味ともいうべき、即時反応、アドリブ・ソロすら、一旦手放したと思うでしょう・・・。野球をボールもバットも使わないでやるようなものですもんね。
とうとうマイルスはソロすら辞めたのだ、とそれはもう、大騒ぎでしたでしょうね。
しかし、同ライナー・ノーツによると、ハービー・ハンコックのインタビューで答えていたらしいのですが、ハンコックのアイディアだったそうです。
「美しいメロディと、リズム・セクションの『アドリブ』によって構成されていると考えるべき」と解説されています。
ホーン・セクションもピアノも繰り返し伴奏に回っているようなスタイルですね。
でトニーとロンのリズム・セクションがひたすら、アドリブ・ソロをとるという、先進的なアプローチとなりました。
とうとう、このよなスタイルも手に入れたクインテットですが、マイルスの知的好奇心と音楽監督力、総合力があり、ショーターの強烈な美しい作曲能力もあり、ハンコックのアイディアがあり、トニーとロンのテクニックがあり、どれか一つでも欠けては成しえなかった、そんな名曲です。
7分52秒が繰り返しなのにまったく暇をしない、そして各個人の演奏は繰り返してはいるものの、
作り上げていく構成力、他のメンバーとの調和・・・素晴らしい(唸る)。
やはり黄金クインテットと呼ばれるにふさわしい名演です。
Fall を聴く・・・
ショーターの作曲。
こちらも新しいアプローチと言えますね。Nefertitiにもつうじるところがある、美しいメイン・テーマのメロディが繰り返されます。
大音量でず~~~~ん、とくるベース音が心地よいです。
ショーターのテナー・サックスの音色が美しすぎます。
Hand Jive を聴く・・・
トニーの作曲。
往年のビバップを彷彿とはするものの、新風を感じる、ドラマーらしい作曲ではないでしょうか?
ウォーキング・ベースはやはり好きですねぇ。ぞくぞくします。
沈黙のハンコック・・・。
弾かない。
弾かない・・・。
まだ弾かない・・・(出番がない?)。
最後に登場は指1本ずつ、片手で仕上げるピアノ・ソロ・・・。
神がかりすぎるクインテットを感じます。
Madness を聴く・・・
ハンコックの作曲。
ハービー・ハンコックのリーダー作がマイルスの味わいとともに、このアルバムに収録されているといったところでしょうか。
昔、NHK/FMラジオの「Session20〇〇」のとある回で、ホーン・セクションとベース、ドラムスという和音楽器(ピアノやギターなど)がなく、シングル・ノートでしか演奏されない構成のバンドが放送されたことがありました。
もちろん、僕が知らないだけで、有名なプロ・ミュージシャンたちのライブだったのでしょうかれども、僕の聴く耳(聴く力)が不足していたので、随分、物足りなさを感じたものでした。
この曲はハンコックの和音は入りますが、ふと過去のそんなことを思い出し、自分の聴き方もかわってきたなあと感じます。
和音が鳴ってなくても、このスリリングさはこのクインテットならではですね。
Riot を聴く・・・
エキゾチックに始まるこの曲はハンコックの作曲。
トニーの頭の中のリズム感は狂うことがないのだろうか?
二度と繰り返さないであろう、毎回新しいトニーのフレーズに酔いしれる1曲。
Pinocchio を聴く・・・
ショーターの作曲。
このメロディもよく、口笛吹きますねぇ~。w
忘れられないメイン・テーマのメロディ・ラインが印象的です。
このアルバム全般に言えますが、そんなに10分もやるロング・プレイではないのですが、しっかり持ち味を各人、短い時間に発揮して終えられるってのは、最高です!!
この半分狂ったような、ユーモアのある感じと、かわいらしいタイトルが、なんだかサーカスを僕に連想させます。
大大大好きな曲です。
Nefertiti、二期黄金クインテットの四部作と、全般をとおして・・・まとめ(個人的雑記)
僕のマイルスに出会うまでの音楽ってのは
イントロ→Aメロ→Bメロ(転換)→Aメロ→Bメロ(再転換)→サビ(高揚)→ギターなどのソロ→サビ(再高揚)→Dメロ(大転換)→サビ(最高に高揚)→エンディング
という、流れがあるもの。
それを簡単にマイルスに触れて、打ち砕かれてしまいました。
概念が打ち砕かれました。
パターンなんてないのです。自由なのです。
マイルスのこの四部作を、ぼや~っと聴いていると、なんじゃこれ?で終わっていたと思います。
それを中山康樹さんなり、小川隆夫さんなり、いろんなライナー・ノーツがポイントを教えてくださることで、一見、難解なジャズやこれら四部作を、心底、楽しめるようになりました。
そして音楽ってのは
I love you
You love me
I want you, I need you
I miss you
時々、Love & Peace
ばかりを表現するものしか聴いてこなかった僕には、ジャズやマイルスが衝撃でした。
これぞ、音楽を聴いている・・・そんな気がしてなりません。
上記のI love youやLove &Peaceをテーマとしている曲を否定してるわけではありません。
ジャズやマイルス(とくにこの四部作)で世界が広がったなあと思っています。
口笛で吹いていたら、「へんな曲ねえ・・・」と言われかねないNefertitiやPinocchioは、おそらくは口笛にふさわしくはないメロディでしょう・・・w(ごめん、ミスター・ショーターw)。
でもですね~、この2曲は口笛で吹きたいんですよね~。
大好き過ぎるんです~。
延々ループ・・・。
「一つのマイルスの結論」として、僕の生涯で大切なアルバムのうちの1枚となることでしょう。
ああ、マイルスはいい・・・。
今回もつらつらと、好き勝手に言いまして、失礼しました。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
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