約5ヶ月かけて、マイルス・デイヴィスの公式盤81タイトルのアルバムをほぼ時系列に聴いてみました。マイルス・デイヴィスの楽しみ方、聴こえ方が大きく変化しました。この記事では、マイルス・デイヴィスのように膨大な作品を残したミュージシャンの音楽を時系列に楽しんでいくことでわかる楽しみかたをご提案していきます。

かなやま
はじめまして。マイルス・デイヴィスがどうしようもなく大好きなかなやまと申します。
マイルスの音楽をざっくり音楽スタイルと時期でわけてみると…
マイルスの音楽をざっくり時期と音楽スタイルでわけてみます。
1945年に初めてのリーダー作を含む『ファースト・マイルス』から1991年『ドゥー・バップ』まで、大きく音楽スタイルを変化させて、ジャズを変貌させました。マイルス・デイヴィスをどうせ聴くなら、つまみ食いならず、『つまみ聴き』をしないで、最初から最後まで聴いてみるということをオススメします。

かなやま
ざっくりとですが、マイルス・デイヴィスの人生をざっくり時期でわけてみます。
初期の『ビバップ』『ハード・バップ』~『クール・ジャズ』期
初期は、チャーリー・パーカーなどが確立した『ビバップ』と呼ばれる情熱的な4ビートの往年のジャズを演奏しました。
それからさらに激しくコード・チェンジしながら熱くなる『ハード・バップ』や、ギル・エヴァンスなど白人ミュージシャンと共同で作られた『クール・ジャズ』へ。
『モード・ジャズ』~『初期のエレクトリック』期
さらには音階を重視して演奏される『モード・ジャズ』になります。
さらに変化するため、スパニッシュやボサノヴァやラテン音楽からも影響を大きく受けるなど、実験的にも録音された時期もあります。電子楽器を取り入れていく1968年頃から、所謂、『エレクトリック期』に入り、更に大きなスタイルの変化をして、ジャズにはとどまらない独自の音階を築きました。
薬物依存や交通事故のケガから体調を著しく悪化させたマイルスは1975年から5年以上を、トランペットに触れない半引退状態になります。
『カムバック期』
半引退状態からの『カムバック期』にあたる1981年頃からも、ジャズ・ジャンル出身のミュージシャンだけにとどまらない人選で世間を驚かせました。
最晩年新しいジャンル『ヒップ・ホップ』と、過去をついに振り返ったマイルス
1991年には『ドゥー・バップ』のレコーディング制作段階の途中であったであろう時期に、未完のままこの世を去ったマイルス。『ヒップ・ホップ』までも取り入れており、共同制作したラッパーのイージー・モー・ビーが完成レベルまで高めてリリースしました。またこの前年あたりでは、常にスタイルを変化し続けて過去を振り返らなかったマイルスが、少しだけライブ・ステージにおいて、クインシー・ジョーンズらと共に、『エレクトリック期』以前の『アコースティック』な録音も残していたり、往年のミュージシャンたちとのフランスでの共演を収録した『ザ・ラスト・サパー』(1991年7月録音)を残したりもしています。
このようにマイルス・デイヴィスは常に変化し続けて、20世紀のジャズを築いてきました。いえ、ジャズにとどまら20世紀の音楽のかなり大きな部分を作り上げてきたとも言えそうです。
数々の巨匠との共演…20世紀の主要ミュージシャンを知ることができる
膨大な作品群を時系列で聴くと、ものすごい数のミュージシャンと共演してきたこともわかります。音楽スタイルだけでなく、ミュージシャンも次々に変化したのです。
自動的についてくる無数のミュージシャンたちのサウンドを、マイルスのアルバムを聴くことによって触れることができるのです。ですのでジャズ評論家の中山康樹さんは『マイルスだけを聴けばいい』とさえ断言し、『マイルスと共演を残していないミュージシャンは聴かなくてもいい』とさえ言います。

かなやま
ジャズ評論家のレジェンド、中山康樹さんについて書いたブログ記事はこちらです。
時系列に聴くことの3つのメリット

かなやま
時系列に聴いていくと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
思うのは以下の3点です。
① 無数のミュージシャンを聴くことができる。
② なぜ次にこのような音楽スタイルに変化したのか、仮説を立てて聴くことができる。→マイルスは独自の音楽を築きながらも、他のミュージシャンから影響を受けて、素直に取り入れて録音していきました。
③ マイルスのその時期、折々のコンディションがわかってくる。→マイルスは薬物や事故から体調がすぐれない時期が多々あり、影響が演奏にも見られました。
『マイルス考古学』の楽しみ
時系列に聴くのはもはや、『マイルス考古学』となっていきます。駆け抜けたマイルスの65年の人生は、20世紀音楽史でもあり、考古学と呼んでかまわないと思います。
私のブログ『勝手にマイルス考古学』の紹介
そこで私が約5ヶ月かけてブログ記事に書いた『勝手にマイルス考古学』をご紹介します。2021年12月にこのブログはひっそりと始まりました。この年はマイルス生誕95年、没後30年の年でしたが、世間は静かに過ぎようとしていました。そこで誰も盛り上がってないので自分ひとりで盛り上がってみようと思い、ブログを始めました。
名づけてタイトルは『勝手にマイルス考古学』です。そして生誕100年の頃にはこのブログが、マイルスを聴いてみようかなと思った人や、ジャズなんて聴いてみたことないけどマイルス・デイヴィスなんて名前は聞いたことあるから、試しに聴こうかななんて思った人のお役に立てればと思います。なんせ膨大な作品群、ブートレグ(海賊盤)をあわせれば500タイトルを超えます。このブログがマイルス・デイヴィスを聴く楽しみ方の指南書やきっかけになれば、なんて思います。
マイルス・デイヴィスに限らない、1人のミュージシャンを探求して音楽を楽しむ
なにもこのような『考古学』的に一人のミュージシャンを聴いていくことはマイルス・デイヴィスに限ったことではありません。皆さまも大好きなミュージシャン1組に絞って、歴史を辿るように1アルバムずつ丁寧に聴いてみることをしてみてください。またできるならブログやSNS上に書いてみてください。きっと今までより深く、その音楽を楽しむことができるはずですし、そこでつながる新たな音楽ファンとの交流も楽しいものです。そしてCDやレコードから遠ざかっている現代のミュージック・シーンにおいては、無形の音楽配信サービスだけではわからない、より深い楽しみを感じられるようになることでしょう。
この記事の筆者
名前:かなやま
ジャズやマイルスを聴くようになって実はまだ6年くらいの、ペーペーです。
今では大好きなマイルスやジャズですが、過去に僕はマイルスを挫折したことがあります。
ジャズを聴いてみたいと思い、学生時代にマイルスのアルバムCD“Aura”をわずかなお小遣いで購入しました。が、まったく意味がわからず挫折・・・。その後は、ロックやJポップを聴いたり、ギターを弾いたりバンド活動をしたりの日々でした。
20年以上の時を経て再度、チャレンジ。ようやくジャズとマイルスの聴き方がわかってきたかな?という今、時にはマイルスをこれから聴く人に向けて、また時にはマニアックな目線で、楽しみ方を発信しようと思っています。

かなやま
最終目標は、このブログを通じて分かりあえた皆さまと一緒に
アメリカ本土へツアーをすること!!
マイルス・デイヴィスの歴史を辿るマニアックな音楽ツアーです!!笑
どうぞよろしくお願いします!
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