Relaxin’ 概要
1956年 Prestige
John Coltrane | ts |
Red Garland | p |
Paul Chambers | b |
Philly Joe Jones | ds |
マラソンセッション3作目にとりあげさせていただくのは“Relaxin'”です。
アルバムジャケットのアートワークについて・・・Relaxin’
だんだん恒例ぎみになってきましたが、まずジャケットのアートワークをみます。
デザインしたのは不詳なのですが、マイルスは絵を描くのも音楽と同じくらいお好きだったようで、マイルスの簡単なスケッチかなにかをデザイン化したとどこかで読んだ覚えがあります。
確定はできませんが胸の位置あたりにある三角二つでおそらく女性。
女性がリラックスして横になっているアートなのかなと思います。
今回はある程度題名と録音内容が一致してるところもあり、全般にリラックスした雰囲気のマラソンセッションとなっています。
楽曲について・・・Relaxin’
1曲目 If I were a bell マイルスは最初に何て言ってるの???
1曲目 If I were a bell
今後マイルスの数々のライブアルバムにも納められる重要な曲です。
最初のハスキーボイスはマイルス。
“I’ll play it and tell you what title(it) is Later”
(まず演奏して、後でなんていうタイトルか教えるぞ)
みたいなニュアンスですかね・・・。ハスキー過ぎて聞き取れません。
もうリラックスしてる感じがしますね。
2曲目 ”You’re my everthing” 最初のメンバーの会話とマイルスの指笛で演奏中断について
2曲目 “You’re my everthing”
冒頭の会話・・・また聴きとれる限りで
マイルス:You’re My Everithing・・・ (ユー・アー・マイ・エヴリシングを演ろう)
誰か:Hold it・・・when you see a red light on,everybody’s supposed to be quiet(待って・・・(スタジオの録音中を示す)赤ランプが点灯して、皆が静かになってからだよ)
(多分)ルディ・ヴァン・ゲルダー(録音技師):Here we’ve go,Miles (さあ、いいよ、マイルス)
マイルス:All right
<♪ガーランドがピアノでイントロを弾く♪>~~~マイルス:口笛で演奏をストップさせる・・・
マイルス:Play some block chords,Red(ブロックコードで弾いてくれ、レッド)
All Right?Rudy.Block chords,Red.(いいよルディ。ブロックコードだ、レッド)
そんな会話だと思います。
ここで面白いのはガーランドが単音で弾き始めたイントロのメロディですが、マイルスが口笛で演奏を止めて和音とメインメロディをあわせて(つまりブロックコードで)弾くように指示をするというやりとりです。
まさか1956年のマイルス達は2022年に自分たちの会話を東洋の端っこの日本人がこうして聞くことになるなんて想像もしていなかったでしょうね。
リラックスがここにも感じられます。
とても演奏も美しい。うっとりとしてしまいます。
4曲目 OLEO
4曲目 OLEO
Bags’ Groove(1954年)以来の演奏で全然趣きが違いますね。ソニー・ロリンズの曲です。
音数が前のものより少なく面白いアプローチ。誰かが演奏していると他の演奏がほとんどお休みするみたいな・・・。
5曲目 It could happen to you
5曲目 It could happen to you
これもマイルスはじめいろいろなミュージシャンが演奏する、ジャズとポピュラー、どのジャンルにおいてもスタンダードです。軽快&リラックス。
6曲目 Woody’n you ビールはどこ?w コルトレーンの一言にリラックスw
6曲目 Woody’n you (ウッディ and ユー ってことです)
ディジー・ガレスピーのいわゆる、ビバップな曲ですね。
最後の会話・・・。
(多分)ルディ・ヴァン・ゲルダー :OK?
マイルス:OK!
誰か:One more take?(もう一回?)
誰か:Why?
コルトレーン:Could I have beer?(ビールどこ?)
いろいろ書籍を見るとコルトレーンは『栓抜きどこ?』って言ってるらしいですけどね。
なんともおもしろい会話。
アマチュアがスタジオに遊びにいってるのと同じような仲間の会話みたいだし、コルトレーンの写真ってしぶかったり、眉間にシワのあるものが多いから、こんなこというタイプなんだなとこの曲で知りました。割とそういうキャラだってのもあちこちの書籍にも書いてありますね。
Relaxin’ 総括して・・・リラックスできました!?w
総じて、マイルス・クインテットは仲良しの5人で、長時間のぶっ続けのアルバム制作にもかかわらず、リラックスもできるし、レベルもとても高いものをさらっと演奏できてしまう・・・この辺が彼ら巨匠たちが20世紀を代表するミュージシャンたちだとの現れですね。
いよいよ次回は4部作のラスト。
かなやま
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