【マイルス・デイビス】11のタイプ別 入門、初心者におすすめするアルバム考察 

マイルス・デイヴィスのアルバムを1951年Digから1969年Bitches Brewまで、50枚は軽く超える公式盤をほぼ時系列にほぼ全てレビューしてまいりました当サイト。この辺でアルバム・レビューを一回お休みして、今夜は「マイルス・ディヴィスをこれから聴く人がいたら、どれからおすすめするか?」という難題を考察してみようと思います。エレクトリック期に入り一つの山場Biches Brewをレビューしましたし、ここら辺で、たまにはお休みも必要ですw。

ただマイルス・ディヴィスのアルバムは公式だけでも100枚を軽く超えていますし、ブートレグを入れたら550枚は超えます。この中から選ぶのはたいへん難しいです。まず「入門するかた」へのおすすめなので、ブートレグは除いて考えてみたい・・・こう思うわけです。こんな無謀な企画、非難が殺到したら削除する覚悟で今夜はこの記事をしたためたいと思います。

それにしてもマイルス・デイヴィスは初期から晩年にかけて、大きな変化をして音楽人生を終えました。ですので、聴き手側のマイルスを聴こうと思ったかたをある程度タイプ別にわければ、少しはおすすめ盤を考えやすくなると思いました。僕もかつて、学生時代に初めてマイルスのアルバムを買って聴いたときは、思いっきり意味が分からなくて挫折したタイプです・・・orz。それは自己紹介欄に書いてますが、芳醇なマイルスの世界への入り口としてお役立ていただけたら嬉しいです。

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Jポップやロックなどを主に聴いてきたかた

まず日本で一番多いであろうこの「Jポップを聴いてきたかた」、「ロックを聴いてきたかた」などなど・・・。僕もかつてはこのタイプで、突然「ジャズってチラッと聴いたらかっこいいな」と思い立ち、ジャズといえば「マイルス・ディヴィス」って聞いたことがあるなとか、「帝王」って呼ばれていたとか・・・。そのようなきっかけでマイルスを聴いてみようと思うかたが一番多いと思います。でもこのタイプが一番、マイルスを挫折する人も多いと思います。それまではI love you. You love me. I miss you. たまにLove&Peace・・・という楽曲が多い中、基本的にインストゥルメンタルなマイルスですし、帝王自身はとある手術後から超ハスキーです。もしかして歌詞がなければ飽きてしまう・・・なんてこともありそうです。ですのでおすすめするのは‘ROUND ABOUT MIDNIGHTというアルバムです。このアルバムにはマイルス必殺のミュート・トランペットから小→大への大転換というおもしろい箇所のある’Round about Midnightというマイルスに欠かせない名曲があります。また、ジャズの定番のAll of Youという曲や、抒情的にマイルスの音色に酔えるDear Old Stockholmがあります。

クラシックを聴いてきたかた

クラシックを聴いてきたかたなら、長時間の10分を超えるような曲でもとくに問題はないと思いますが、マイルスの曲にはたいへん長い曲もあります。そこでマイルスに入りやすいとすればSketches of Spainです。このアルバムは「アランフェス協奏曲」という16分ほどの盛大なジャズ・オーケストラ編成の中でマイルスの非常に胸に迫るトランペットを堪能できます。ギル・エヴァンスという指揮者、アレンジャー、ピアニストとのタッグで完成した大作です。きっとゆっくりとクラシックも聴きながらジャズを楽しむ入り口としては親しみやすいと思います。

ヒップ・ホップがお好きなかた

ヒップ・ホップがお好きなかたでしたら、もしかしてもうご存じかもしれませんが、最晩年のマイルスはヒップ・ホップを取り入れたアルバムを作成しました。それは作成の道半ば、61歳という人生で幕を閉じるマイルスの人生ですが、未完成ながらもまだまだオレはやるぞ!という力もみなぎるアルバムとなっています。タイトルはDoo-Bopです。まだ僕の当ブログではラスト・アルバムまでのレビューはお届けできていませんが、すっごいかこいいんですよ!当時(1991年)の若手のラッパーを起用しての新たなマイルスの挑戦でした。ヒップ・ホップ・マイルスをもっとこの先も聴いてみたかったなと思わせてくれる名作です。

映画が好きなかた サントラが好きなかた

なんと言っても映画好きなら「死刑台のエレベーター」という映画、ぜひご覧ください。いくつかマイルスは映画音楽も手掛けていますが、このフランス映画のサウンド・トラックを担当ています。「男の孤独な夜」を唄わせたらこの時期のマイルスのトランペットったら、もうたまりません。ちなみに僕は映画じたい、1本2時間とかじっとしてるのが嫌であまり見ませんし、痛快なアメリカ映画のほうがわかりやすくて好きなもので、このフランス映画は見ておりません。悪しからず・・・。

マイケル・ジャクソンが好きなかた

1つめのタイプに「ロックが好きなかた」というタイプを紹介してるが、「マイケルが好きなかた」はそこに入るんじゃないの?と思われるかもしれません。でもマイケル・ファンのかたでしたらマイケルは他のロックやポップスといっしょにカテゴライズドできますか?きっとできないでしょう。僕はマイルスの音楽をこよなく愛していますが、他のジャズや音楽と同じカテゴリーでは考えません。マイルスの音楽は「マイルス・デイヴィス」という一つのカテゴリー、ジャンルもっというなら「カルチャー」とまで思っています。それと同じくらいマイケルにはマイルスと同じく「カリスマ性」があります。

M/D と  M/J

emperor  と king

20世紀を生きた二人のカリスマにも関係はありました。それは近い未来、このブログでレビューを書きたいと思います。

一番てっとり早くマイルスに耳を傾けるならやはり、マイケルの数々の代表曲の一つHuman Natureをマイルスが演奏したYou ‘re under Arrestというアルバムからどうぞお聴きください。これがマイルスのトランペットです。マイルスは素晴らしいヴォーカリストのヴォイシングを自身のトランペットの音色に取り入れようとたいへん熱心に取り組んだことでも知られます。きっとこのHuman Natureのマイルスの吹く音にマイケルの響きを聴けることでしょう。

そしてこのアルバムだけにとどまらないようでしたら上記、「Jポップやロックなどを主に聴いてきたかた」におすすみいただければよろしいかと思います。

BGMとして聴いてみたいかた

このタイプのかたにはおすすめしたいアルバムがなかなか見当たりません。僕の音楽の聴き方がちょっと偏屈(じゃなければ、こんなブログやりませんよね・・・)だったりするからかもしれません。でもなんだか見つけられないのです。ごめんなさい。でもちょっと、お待ちください。まだ帰らないでください。きっと何かのきっかけで「マイルス・デイヴィス」を検索して「ジャズを聴いてみたくて」このページに辿りついていただけたのでしょう。でしたら手ぶらでお帰りいただくわけにはいきませんw。マイルスは常に高みを目指し、変化していった人です。これをお読みのあなたも何か変化しようとして、次の一歩を踏み出そうとしておられるはずです。ジャズ・ファンも頭を柔らかく、もっとジャズをポップのように、軽いノリで、普段音楽を聴かない人にもなにか音楽をおすすめしてもいいと思います。ですので僕はひねり出します!BGMとしておすすめするマイルスは・・・あえて避難覚悟で・・・「エレクトリック期のマイルスならどこからでも!!」です。一枚に絞れません。マイルス・デイヴィスは本当におおまかに分けるとするならば、デビューしてから1967年のNefertitiまでの「アコースティック期」と1967年のMiles in the Skyから最晩年までの「エレクトリック期」にわけられます。マイルスはカテゴリーにわけられることを嫌っていたので、このような期間でわけることもしないほうがいいです。ただ膨大なマイルスのアルバムの数々を考えるときに便宜上、このように2つの期間にわけるとマイルスのどの時代を聴いているか僕たち聴き手が便利なのであえてこの呼び方を使います。また「アコースティック期」と言ったって、所詮はこうして今音楽を聴けるのは当時、電気を使ってマイクをとおして録音するという技術があったからこそです。厳密に言えば本当のアコースティック・マイルスは存在せず、マイルスはずっとマイルスだったわけです。それで、肝心な、この「BGMとしてのマイルス」をお伝えしますが、はっきり言って膨大なマイルスのアルバムは本来、BGMにはしたくない!という願望が僕たちマイルス・ファンにはあります。マイスルが作った作品にはそんなふうにして聴いてほしくはないという願望・・・。でも今このサブスク、ストリーミング配信が当然の時代に、マイルスをBGMにするという神への冒涜のような聴き方も、時代の変化とともにアリだと思うのです。だってですね、昔のように3000円以上するレコードやCDを買わなくても、どこでも気軽に音楽を聴ける時代になってしまったのです。きっとマイルスが生きていたら、この時代にまっさきにマイルスはiPhoneで音楽をガンガン聴いていたでしょう。リモートでメンバーとうちあわせをしていたでしょう。iPhone1台で1曲作るなんてこともしてたかもしれません。もうお金だって必要ないさ、と無料で音楽配信をしてワーナー・ブラザーズの次に契約したレコード会社を泣かせていたかもしれませんw。「オレの音楽を聴け!」そんなメッセージのみで世間を驚かせていたかもしれません。ですのでマイルスが変化していったように、ファンも変化していってもいい・・・。マイルスにSo What?そう言われて終わりかもしれませんね。ですので僕の作成した以下のエクセル表から1967年のMiles in the Sky以降最晩までのアルバムから「どれにしようかな・・・♪」で選んじゃってください。「マ・イ・ル・スのいうとおり♪」だって僕もこの忙しい日々、マイルスをBGMにしちゃってますもん。スピーカーのど真ん中に陣取って聴けるのは最高の楽しみなのは言うまでもありません。でも、入門者さんの入り口としては全然OKということにしましょうよ、マイルス・ファン、ジャズ・ファンの皆さま!!

あらゆるジャズを聴いてきたかた

あらゆるジャズを聴いてきてマイルスを聴いていないというかたは、おそらくまずいないでしょう。いないと思いますが念のためこのタイプも言及しなくてはならないと思いました。まずジャズを聴いてこられたのならば僕のような偏ったマイルスばかり聴く者(このような人を中山康樹さんが命名した「マイルス者」と言います)の言うことは聞かずに、どれからでもマイルスを聴けばいいですよね?それはわかりきっておられると思います。でも僕はあえて言います。じゃあ僕の作った時系列のマイルスアルバム・リストを見ながら、上から時代順に1枚1枚聴いていけばいいと思います。まず本当の初期の録音技術も低かった頃のアルバムだって聴くのはこのタイプのかたにはなんてことはない、ジャズだからこんなもんでしょうと、大目に見てもらえると思います。ジャズを聴いてこなかったかたには特に、1951年のDigというマイルスのアルバムより前はおすすめしません。LP(ロング・プレイ)録音ができるようになったこのDig以降からをせめておすすめしたいと思うからです。録音の尺にとらわれながらしか録音できなかった時代、マイルスのような天才が短い時間に集約して録音したとしても、聴き手の素人の僕たちがそれを短い尺の中で感じてれるとは限らないからです。もうジャズがお好きなかたならどこでもOKでしょう。ブートレグの録音が悪いものでもいいかもしれません。所謂、エレクトリック期に入ってからのものでも、マイルスという人物の人生を僕のように研究しながら聴いていくというのもアリだと思います。ですのでどこからでも安心してお聴きください。そして僕のように、誰一人見向きもしないかもしれないけれど、ブログでもYouTubeでもVoicyでもいいので発信しましょう。楽器を演奏してもいいかもしれません。受動から能動へと立場を変化してみるのです。マイルスの音楽人生が「変化」と常に隣り合わせだったように・・・。

アコースティック期のマイルスをある程度聴いてきたかた

アコースティック期のマイルスを聴いてこられたかた、迷わず所謂「エレクトリック期」を聴きましょう。なぜ?どうして?そんなに電化マイルスを否定するのですか?Miles in the Skyのエレクトリック・ピアノは嫌?Biches Brewのバス・クラリネットが怖い?Big Funのシタールなんてジャズじゃない?ドラムスが、ギターが、シンセサイザーがキンキンする?すべてそれらはマイルスです。マイルス・デイヴィスという一人の巨匠の人生を追ってみませんか?マイルスが頭の中に描いた音楽はこうして今も残されていつでも聴けます。あなたが再生ボタンをタップすればいいだけの、なんといい時代でしょう。再生したけれどやっぱりアコースティックだけでいい?それは一つの答えですから、僕も否定はしないです。でも聴く前から電化マイルスを否定することだけはやめてください。僕がかつてそうだったのです。「電化マイルスは基本聴かない」というマイルールがありました。ちょっと試しに電化マイルスを聴いたところ、あっという間にとりこになっていましたけどね・・・w。

エレクトリック期のマイルスを聴いて意味がわからないかた

電化マイルスを聴いて意味がわからない・・・そんなかたはそれもいたって普通のことだと思います。だってマイルスの長い長いアコースティック期を聴いておられないのでしょう?きっとアコースティック・マイルスをゆっくり、時系列に聴いていけば、す~っと電化マイルスも聴けますよ。マイルスは変化し続けましたが、朝起きて急に「電気使うぞ!」ってなったわけではありません。一歩一歩、ゆっくり、慎重に、緻密にマイルスは変化していきました。マイルスは音楽に関してはいつも真剣そのもの、怠ることはなく、前進だけしていく人生でした。それを一朝一夕でわかるわけがないのです。ゆっくり、遠くを見ながら、なんなら絵画や雑誌、スマホでも眺めながら聴いてみましょう。だってもう、このタイプのかたはマイルスを知っているかたですもの。もっとマイルスのこと、知りたいと思っておられるでしょう。

マイルスのトランペットだけを存分に聴きたいかた

マイルスのトランペットだけを聴きたい。他の楽器は邪魔だ!そんなかたへ・・・。マイルス独奏の曲というのは存在しません。でもマイルスのトランペットとドラムス、ウッド・ベース、ピアノの4人編成(カルテット)のアルバム(しかも全曲)というのがあります。The Musings of Miles(1955年)です。存分にマイルスのトランペットを楽しめます。聴きやすいアルバムにもなっています。

なんでもいい! これがベストだ!というのを聴きたいかた

ベスト盤を教えろ!というのがなかなか難しいです。マイルスはどこを切り取ってもベストですから、これ1枚でマイルスを語りましょうというのは不可能と言えます。でも僕がマイルス・デイヴィスの名前くらいしか知らない時に中古で買ったCDがこれ・・・

所謂、アコースティック期の曲を9曲収録して、かつ図解(漫画?)でマイルスの歴史を紹介したり、だいたいのアルバムのアウトラインを紹介しているソニーからのリリースです。たった9曲に絞るというのは無謀なベスト盤で、そもそもベスト盤なんてものがありえないマイルスの世界ですが、このようなものがあるから僕はここまで聴いてこれたとも言えます。このCDを何年聴いてからマイルスのCDを購入したのか・・・かなりの歳月がかかりましたが、これをBGMのようにだいぶ聴いてから、マイルスを本格的に聴くようになりました。今でもCD棚にきちんとしまって次のマイルスを聴こうというかたへお譲りする日まで待機中です。

ただこれだけは申し上げたいのですが、これさえあればOKという1枚はありません。1枚にはまとまるわけはありません。でも便宜上、このようなベスト盤を聴くこともいたしかたない・・・そんな位置づけであることは申し添えます。

全般をとおして・・・

マイルス・デイヴィスの解説の第一人者のおひとり、中山康樹さんは名著「マイルスを聴け!Version7」の世紀の大問題作、大名作、Biches Brew の解説でこのように書いておられます。

初めてマイルスを聴いたレコードと初めてマイルスがわかったレコードは、まず一致しない。ジャズというこずむかしい音楽を聴いてたちまちトリコになりましたなどという人間はいない。いたとしたら、その人間はウソつきだろう。「こんな長ったらしい音楽はうんざりだ」となるか、「なんかわからんが変わった音楽やな」となるかふたつにひとつ。そして「自分に理解できない良さがたぶんどこかにあるんだろうなあ」と思いながら少しずつ聴いてわかってくるのがジャズという音楽である。僕にとってのジャズもマイルスもまったく同じだった。わかったようなわからないような感じで、なんとか耐えながら聴いた暗い時代があったのだ。しかも1枚のレコードを聴いて、すぐにわかるようなマイルスではない。

中山康樹さん著「マイルスを聴け!Version7」双葉社2006年 287ページ

この引用させていただいた中山さんの文章がすべてではないでしょうか?当然1枚だけ選ぶならどれ?という議論は楽しい。「NefertitiだったらMiles Smilesだろう!」「いや~Miles Smilesはマニアックすぎるぅ~」のような楽しい議論にはぜひ、花を咲かせて、さらに水をあげて日も十分あてて、育てていきたいものです。でも「おまえ、わかってないな~。コレを聴かなきゃマイルスもジャズも語れないよ~」みたいなハイ、終了~となるような一方通行な論説はしいたくないものです。いや、しないぞと心に誓わせていただきます。ですので答えのない今夜の議論、あえて中山さんの上記引用文を読んで、ふと発信してみたくなり、アルバム・レビューをお休みして書いてみました。いつもより、フリーに文献なしに近いかたちで思うがままに書かせていただき、雑な面もあったと思います。でも明日以降また一枚ずつ、可能な限り丁寧に、またこの考古学を続けていこうと思います。どうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします。今夜もありがとうございました。

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