【マイルス・デイヴィス】Agharta  アルバムレビュー 考察63-2

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Agharta 熊谷美広さんのライナー・ノーツについて・・・

今回のブログも、前回に続きまして、『アガルタ』の日本盤CDに封入されているライナー・ノーツがあまりにも詳しく、素晴らしい内容なので、僕の私見などは後回しに、できるだけ要約して皆さまにおお届けしようという趣旨で書いてまいります。

前回はアナログLPが発売された当初のライナー・ノーツ児山紀芳さん 1975年)をご紹介しました。今回は熊谷美広さんがCDの日本盤で発売したライナー・ノーツとして書かれたもの(1996年)をご紹介したいと思います。

筆者<br>かなやま
筆者
かなやま

今回も、本当に素晴らしい内容になっていますので、ぜひ、音楽配信サービスなどではなく、CDのご検討をなさってみてください。

マイルスのこの怒涛のライブを聴く、必ず助けになります。

熊谷美広さんについて・・・

まず筆者である熊谷美広さんについてです。音楽評論家として今もなお、ご活躍をされています。公式ホームページもこちらからご覧ください。

ジャズ・マニアでなくても聞いたことのある媒体でのご活躍や、インタビューした人物の一覧を拝見しますと、国内外問わず、幅広くご活動されています。そんな熊谷さんが1996年に『アガルタ』について執筆されたものを、できるだけ完結にご紹介します。

Agharta ライナー・ノーツ 熊谷美広さんによる・・・【箇条書き】

1975年のマイルスの来日は3回目(1回目1964年『マイルス・イン・トーキョー』など。2回目1973年)。

〇マイルスだけではなく、メンバーやステージ、PAなど、すべてベストという完璧な状態だった。

〇昼の部(といっても16:00~)の録音が本作。夜の部(19:00~)が次作『パンゲア』

テオ・マセロ(プロデューサー)の編集なしのノーカット実況録音である。

〇マイルスが演奏していないときでも、マイルスの存在感がこちらに伝わってくる。

〇ラスト部分、マイルスがステージを降りたあとも、メンバーたちはずっと演奏を続けていた。アナログLP(1975年発売)では、フェイド・アウトで終わっていたが、CDでは完全収録され、真の意味でコンプリートとなった。マイルスがステージを降りたあとも演奏を続けたのは、マイルスの指示だった。

〇マイルスが『ビッチズ・ブリュー』で試みたことで最も重要なのは、エレクウトリック・サウンドの導入ではなくて、フォームの解体とリズムの解放だった。

テーマ→アドリブ→テーマというフォームから離れ、メロディやアドリブを自由に演奏するマイルスと、4ビートとか8ビートとかいったリズムの概念から離れ、ただただグルーブするリズム・セクション。それがジャズにまったく新しい生命を吹き込んだ。

〇マイルスの音楽の原点であるアフロ/アメリカン・ミュージックの原点に戻るために、そのサウンドはどんどん単純化、原始化していった。その最も単純化された作品が『オン・ザ・コーナー』である。

〇オリジナルのライナー・ノーツには『住宅環境の許す限り、ヴォリュームを上げてお聴きください』と書いてあったw。

筆者<br>かなやま
筆者
かなやま

僕はここ最近、住宅環境に配慮して、Bluetoothヘッドフォンでもけっこう重低音が鳴るものを使って、夜な夜な聴いています。とくにこの頃のマイルスは重低音はぜひ、欲しいところです。

〇50~60年代のマイルスが好きな人のなかには、このエレクトリック・サウンドとリズムの嵐に閉口するひともいるだろう。でも、そういう人にこの音楽をすすめようとは思わない。感じられる人だけが感じられればいい。

〇この『アガルタ』は1部と2部がそれぞれCD1枚ずつに収められている。すべてが即興でノンストップで演奏されたため、曲のタイトルは「とりあえずつけた」ぐらいに考えておくべき。

〇いくつかのディスコグラフィーでDISC2の『インタールード』『ジャック・ジョンソンのテーマ』が逆にクレジットされているが、この音楽の前では、タイトルなんてどうでもいいことだ。

『インタールード』の後半部、ピート・コージーのソロのバックで、マイケル・ヘンダーソン『ソー・ホワット』のテーマ部分を弾き続け、レジー・ルーカスもそれに反応している。だから曲のタイトルは『ソー・ホワット』でもよかったはずである。曲のタイトルをマイルスは超越してしまっている。

〇ジャケットのデザインは横尾忠則氏のもの。『アガルタ』とはスリランカに存在したといわれる、伝説の地底都市。それをよく表現している。

マイルスはこのライブ・ツアーのあと、病魔に倒れ6年間沈黙する。当時マイルス48歳での一時引退でした。

次回へ続きます・・・

次回に『アガルタ』のまとめとして、もう少し詳しく、また私見も入れて、書いていこうと思います。考察63‐3へ続きます。

筆者<br>かなやま
筆者
かなやま

次回もよろしくお願いいたします。

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